『神様の暇つぶし』
千早茜
文藝春秋 2019年7月20日
──そこには神様がいた
女子の中では「男役」、異性には興味がないふりをしていた二十歳の主人公が忘れられない男に出会ったある夏の記憶。
⋆
『みんな自分の恋愛だけがきれいなんだよ。不倫してようが、歳の差があろうが、略奪しようが、自分たちの恋愛だけが正しくて、あとは汚くて、気持ちが悪い。』
-p. 186
⋆
食べ物や飲み物について、またそれを咀嚼したり飲み下したりする様子が詳細に描写されていて、美味しそうというより生々しい。その生々しさのせいで臨場感が増すのか、主人公の屈託や煩悶、節操や執着などの感情も直接胸の奥深くまで潜り込んでくるかのよう。
初めて読む物語なのに、再読かと感じるほどに読みやすく、ともすればスルスル、スルスル、活字の上を目が滑ってしまうのを気を付けなくてはならないほどだった。
読み進むほどに、このシワシワで荒んで草臥れて、澱んだ空気を放出するおっさん(ジジイ?)が魅力的に、愛おしくさえ思えてくる不思議(目を覚ませ、おっさんならうちにもいるぞと自らに言い聞かせる)。
性愛についての描写も露骨だけれど、いやらしいとか、気持ち悪いとかいう感じを受けないのは、その向こう側が見える(ような気がする)からだろうか。
読後はただ切ない余韻に沈んだ。本の中で起こっているお話なのに、なんだか巻き込まれた感がすごい。
It was the book about ardent love and burning passion and also life and value. What is important and what makes a person happy varies from person to person. Even if loved someone with every fiber, there is no guarantee that she/he loves you back in the same way. Unfulfilled love may make you feel helpless and hurt inside, but some day you’ll find what you felt and how you loved made you stronger.
