福澤徹三/糸柳寿昭「忌み地 怪談社奇聞録」 | 読書日記PNU屋

福澤徹三/糸柳寿昭「忌み地 怪談社奇聞録」


 事前情報を仕入れず、著者の名前買いしたので内容は読んで初めて知った。なんとなく対談形式かと思っていたのだが、なんと取材から得られた怪談をそのプロセスも含めて書くという書物なのである。シンクロニシティあり、リアルな障りありで、怪談ファンのみならず怪談作家を目指す人や、もう既に書いている人にも興味深い一冊となりそうだ。


 印象に残った話を下記に。


三人連れの真相/話のメインは心霊ではないけれど、これぞまさに人怖。


女の子の怪談/両親の登場シーンには、オオッとなった!


素人呪術/不条理怪談としても面白く、ゾッ。


アヨノサト/「でたでえッ」に戦慄。どこか物悲しい話。


底喰川/現象自体は割と聞く部類ではあるけれど、取材背景やソコバミガワという不気味な地名の合わせ技で香り高く仕上がっている。


心霊ビデオ/これは粋な怪異!●り●ましは怖い。


うなる男/口●め料目当てに、住んでみたくなる!?


 終盤、湿気た土地に出る黒い人の連作も迫力があった。


 しかし、ビックリしたのは大島てるサイトの利用法。こんな利用法があったのかと目からウロコだった。私なんて、出張で行った土地を検索してはウヒョー怖いーとか言ってるだけだもんね。売れる人と、そうでない人との発想力の彼我の差を想う夕暮れ。