エブリスタ・編「千人怪談」 | 読書日記PNU屋

エブリスタ・編「千人怪談」

千人怪談 (竹書房文庫)
エブリスタ・編
竹書房


 ウェブ投稿の1000を越える怪談から選抜された1冊。

 ネタは良いのに、ですますとである体が混ざっていたり、語り口は巧いのによくあるオチだったりと、少し手を入れたらグンと良くなりそうな作品多々…ウェブでは一行空けは効果的かもしれないけれど、紙媒体では間延びして見えてしまうのも残念(空けの多いのがどうしても気になってしまった)。

 私的お気に入りを下記に。


今野綾 冷えた指先/一行空け多数には閉口したけれど、地味に存在感のある怪異が良かった。

東堂薫 禁漁区/ありがちな展開なれど、緊迫感があって楽しめた。

渡辺佐倉 蛆/雰囲気が素敵。セカイがある。もっと他作品も読んでみたくなる、魅力ある一品。

青山藍明 ダンさん/子供が親の目の届かないところで何をしているのか…それは不安と恐怖。私も類話を持っているので興味深かった。

にし スイカ/巧い。方言の味わい。

雪鳴月彦 祭りの夜の帰り道/因果応報にオチず、もやもや読後感があとを引く。

酒解見習 検証/愚かなる勇者たちと、巻き込まれた者の物語。意外性と嫌怖な味わいで面白かった。