政木亮「おおかみかくし」1・2・3 | 読書日記PNU屋

政木亮「おおかみかくし」1・2・3

原案:竜騎士07
原作:コナミデジタルエンタテインメント

1「都忘れ編」
おおかみかくし 都忘れ編 (ガガガ文庫)おおかみかくし 都忘れ編 (ガガガ文庫)
政木 亮 なつめ えり

小学館 2010-03-18


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 小説家の父、ハンディキャップトの妹と田舎町に越してきた博士は、クラスメートから異様なまでの好意を一身に受ける。ただ一人、彼に関心を持たない少女・眠から[誰とも仲良くするな]と警告を受けた博士だが…。

ひぐらしのなく頃に」で有名な竜騎士07原案のゲームのノベライズ版。
 キャラデザはPEACH-PITというので期待していたら、イラストレーター、別の人なのね。ちょっと残念。

 本書だが、とにかく最初がたるい。100ページ近く読んでも、キャッキャウフフが続くだけで、これという事件は起こらないのだから(せいぜい、車中のホモォ…くらいか。悲劇への種は最初から蒔かれているのだけれど、それにしても退屈)。

 竜騎士07作品は「ひぐらし」しかり「うみねこ」しかり、導入部が長いので、こちらも気長につき合う必要があるのかなと思った。田舎町の因習が悲劇を…というところは「ひぐらし」テイストで楽しいが、そこまでが長くて少し読み疲れた。

 イラストは主人公と少女の区別がつきにくいんで、博士はもうちょっと男の子っぽい感じにしてほしかったかも。
 

p.s.正明の小説、効果を狙ってかもしれんが、同一ページに【ぼんやり】という単語が四回出てくるって…どないよ。


2「一人静編」
おおかみかくし 2 (ガガガ文庫)おおかみかくし 2 (ガガガ文庫)
政木 亮 なつめえり

小学館 2010-09-17


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 妹のマナがバイオリンを習いだした。送り迎えする途中、博士はクラスメート・眠の意外な姿を目撃する。

「ひぐらし」と同じく、今回もループ。このような平行世界的ループものが、初めて文芸界に出てきたのはいつなんだろう?ゲーム分野にはなじみが深い考え方のようだが…(最初のプレイは必ずバッドエンド、とか)。
 1よりはだいぶ、文章も読みやすくなった感じだ。イラストは…手の描き方がちょっとヘン??だが。
 
 そうそう、五十鈴ルートだった1より、眠ルートの2の方が断然盛り上がる。やはり、キャピキャピ系より無口でクールなヒロインのツンデレがなきゃな。
 
 クライマックスは怒濤の展開で、シリーズ三冊中、本書が一番面白かったように思う。信じることの大切さを伝える作品だ。

 
3「雪月花編」
おおかみかくし3 (ガガガ文庫)おおかみかくし3 (ガガガ文庫)
政木 亮 なつめ えり

小学館 2011-03-18


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 夜に出かけて、儀式のような殺人現場を目撃してしまった博士は、町の秘密を探り始めるが…。

 ノベライズ最終巻は、かなめルートか?!と思いきや、1と2の混合(つまり、どっちつかず)みたいなのだった。
 そして、小説版オリジナルストーリーらしい。えーそうなんだ、ゲームをやらずに
小説で手っとり早くあらすじを知りたかったのに…ま、ゲーム版ユーザのためには仕方ないけれど…。
 
 2で大いに盛り上がっただけに、3の無風状態は意外。いや、町を揺るがす事件は起きるのだけれど、情動的な部分での盛り上がりがさほどでもなくて…。
 
 思うんだけど、神人たちはかたっぱしから手当たり次第人類を襲っちゃえばいいんじゃない?で、全人類を征服できれば、もうミツがどうこう、衝動がどうこうってこともなくなるわけだから。それじゃあダメなんでしょうかね。