伝統の森では、お母さんが子供を横に置いて働いている。

赤ちゃんは、シルクを織るお母さんの横でハンモックに揺られている。もう少し大きな子供は学校から帰ってくると、お母さんの手伝いをしたり、横でお母さんの仕事を見ている。

 

伝統の森では、子供が叫ぶような泣き声を聞かない。

お母さんは、仕事の合間に子供の面倒を見ている。

 

一見すると、これは非効率的に見える。

でも、森本さんは言う。「これが一番効率的なんだ」と。

お母さんたちは、横に子供がいることで精神的に安定する。誰かに預けていたら、「今どうしているかな?」と絶えず心の底で心配している。その精神状態が繊細な手作業に表れる。それが、製品のクオリティを下げることになってしまう。

そして、子供達も安心しているから、泣き叫んだりしない。

 

また、村の子供達は、村のみんなで面倒みる。だから、守られている感じがするのだろう。

 

仕事と生活がシームレスにつながっている。かつての日本もこうだったのだろうと思う。

ここから醸し出される空気感がなんとも素敵なのだ。調和がとれていて、心が落ち着くべきところに落ち着くような感覚になる。

 

こんな空気感の場、職場が日本でもあったら、今の組織の閉塞感やメンタルヘルスの問題が減少するのではないかとも思った。

 

そして、この感覚は、伝統の森で初めて気がついたものではなく、心の底で無自覚だけれども、以前から感じていたものであった。それが、伝統の森で「やっぱり、そうだ!」と自覚したものであった。