ヴァイオレット・ウィンズピア◇ブルージャスミン◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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美しいローナ。彼女はさながら砂漠のように飽きさせず、青いジャスミンの花のように馨しかったーーー






◇ブルージャスミン◇ -Blue Jasmine-

ヴァイオレット・ウィンズピア 細郷妙子 訳



むせ返るような野生の花の香は誘う――運命の人が待つ、遙かなる金の砂の王国へ。

亡き父への思慕を募らせ、彼が生涯愛した砂漠を訪れたローナ。 だが、オアシスに立つ父の家はすでに朽ち果て、廃墟と化していた。 茫然とするローナに追い討ちをかけるように、 とつぜん盗賊が現れ、襲いかかってきた。 と、妖しい光を瞳に宿した馬上の男がローナを救った。 きのう、砂占い師が予言した、黒い髪の男性との出会い。 私を追いかけ、私に触れるというその人は、彼のことなの? 不安に駆られ、町まで送ってほしいと懇願するローナをよそに、 男は彼女を連れ去った――あまりに熱く、甘美な砂の世界へ。



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雪組公演

昭和58年(1983年)8月11日〜9月27日

ミュージカル・ロマンス

『ブルージャスミン』17場

ー砂漠の愛ー

「ハーレクイン・ロマンス」より

ヴァイオレット・ウィンズピア 原作

阿古健 脚本・演出

*併演公演は「ハッピーエンド物語」



世界中の女性を魅了している「ハーレクイン・ロマンス」シリーズの同名小説を舞台化した作品で、アラビアの王子とイギリスの女性との恋を描いたロマンティックで劇的な物語。1920年代のアラビア。カシム王子(麻実れい)は砂漠のオアシスで、人攫いに襲われる美しいイギリス人女性を助かる。その女性ローナ(遥くらら)は、画家だった亡き父のアトリエを求めて一人で砂漠を訪れていたのだ。ローナの美しさに魅入られたカシム王子は、彼女を強引にキャンプに連れて帰る……



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ローナは美しく健康で教養も有るが長い間を修道院で過ごした。恋愛などしたことが無く、寧ろ俗世の男を軽蔑している彼女にとって亡き父親だけが大事な人間だった。



今回、ローナはその父親が愛してやまなかった東洋の砂漠を訪れに来たのだ。男友達のロドニーがどんなに止めてもローナは父が住んでいたオアシスの家に行かなければならなかった。しかしオアシスの家は廃墟に化していた……その上馬を失った彼女を盗賊が襲う。ロドニーがあんなに止めてくれたのに、と後悔した彼女を救ったのは砂占い師が予言した通りの黒髪の男。フランス的な上品で、しかし荒々しい男。



男はカシムと名乗った。カシムはホテルに帰りたいローナを自分のキャンプに連れ帰った。彼はアラブ人のベニ・サーディ族の王子だったのだ。ローナはカシムの傲慢さに死に物狂いで反抗するが雁字搦めにされて逃げられない。ローナはキャンプの中で彼の立場と彼の性格の複雑さを目の当たりにする。ある時、とうとう脱出の機会を掴み、逃げ出すが絶体絶命のピンチを迎えた時、ローナはカシムをいつのまにか愛していたのだ、と気づくーーー



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「ブルージャスミン」です(・∀・)

まさか自分がハーレクイン小説を読むことになろうとは。仕事柄ほぼ毎日ハーレクイン小説は目にしていますが、こういう機会じゃなきゃ読まなかっただろうな……ある意味感謝?



ハーレクイン小説といえばとにかく非現実的な御伽話のような場所でのラブロマンスです。主人公になる男女も大体性格が決まっています。ですが最近の男主人公は御曹司や社長が多く、異国の王子、はあまり聞かない気がします。今は紛争だったり民族間争いとかで嫌なニュースが絶えませんが、ひと昔のオリエントはヨーロッパにとってはオリエンタル・ロマン溢れる不思議な世界でした。



カシムの性格はとかく自信たっぷりで傲慢でハンサムで確かに宝塚でやるにはぴったりです。しかし人気絶頂の麻実れいさんなら口説かれても良い!?← しかし肝心のヒロインがなかなか恋に落ちないのでそこはハーレクインの中でも珍しいと言える。大体は最初から恋に落ちているか序盤あたりで恋の情熱の虜になってしまうのに。ローナがどのように恋に落ちるのか、そして宝塚版ではカシムがどのようにローナを1人の人間として見るようになるのか、が見どころです。中盤終わりまでローナは反発か質問か脱走しかしませんから←



舞台になる場所の大部分がキャンプなので登場人物も限定されています。まさかロドニー、出番そこだけとはorz これでは2番手男役の立場が無いので宝塚版はきっともっと出番が有ったと思いたいです。自力で馬乗って見つけるとか。ローナを諭す賢人な医者やカシムの異母妹トゥルキーヤの出番が少なめだったのが残念だな、と思います。



男女が出会い、喧嘩し別離しながらも和解して結ばれる。ある意味ハーレクインの恋愛はもう現実のものではなく、ひと昔のもの、反発されて然るべきものになりかけています。しかしいまだに男女ロマンスで夢を売る宝塚はやらかしながらも←大人気で、男オンリーの歌舞伎も健在です。全てが現実でなくても良い、夢を見たって良い。今日もハーレクインは王子様を求めてはその夢と別れを告げた女性たちを肯定するのです。



「ブルージャスミン」でした(・∀・)/ 

次はちょっと、お祝いも兼ねて。(*^o^*)/