ウィリアム・アイリッシュ No.12◇暗闇へのワルツ◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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その船から降りた女は写真とは別人だった……しかし……






◇暗闇へのワルツ◇ -Walz Into Darkness-

ウィリアム・アイリッシュ 高橋豊 訳



ルイスは天にも昇る心地でいた。通信交際会に紹介されたジュリアという女性との手紙のやりとりが実り、彼は結婚することになったのだ。そして今日が、花嫁を乗せた船が着く日だった。だが、目指すジュリアの姿がない。狂ったように人ごみを探すルイスを待っていたのは、見も知らぬ、しかし、楚々たる美女だった! 限りなき転落へのワルツを予告するかのように……ムードとサスペンスの巨匠が悪女の美しさを描いた野心作。



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ニューオリンズのコーヒー輸入業者ルイス・デュランドは幸せの絶頂にあった。通信交際会で紹介された女性ジュリアと結婚することになったのだ。彼女は船ではるばるセントルイスからやって来るのだ。新妻のために家も花も用意した。後はーーー迎えに行くだけ!



カナル街の桟橋にシティ・オブ・ニューオリンズ号は着く。写真で顔は知っているからすぐに分かる。だがいつまで経っても彼女は降りてこない。しかももう誰も乗っていないと言うではないか……彼は気が狂ったようにジュリアを探した。すると声がかけられる。しかし「ジュリア」と名乗る女は写真とは全然違う美女だった!



「あれは姉の写真なの」と言うジュリアの言葉を信じ、2人は結婚した。しかしだんだんジュリアは不可解な態度を見せはじめる。ある日ジュリアの姉から手紙が届き……「ジュリアからの手紙なのに筆跡が違う!」



デュランドは騙されたのだ! その上5万ドルを引き出されてしまう。そう言う風に手続きしたのだ……デュランドは復讐に燃え、ジュリアの姉と共に探偵を雇う一方でさすらうように飲んだくれるが、遂に再会した時、デュランドはジュリア、いやボニーに惚れていると気づく。それが流浪と転落の始まりだったーーー



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「暗闇へのワルツ」です(・∀・)



ウールリッチ=アイリッシュのもう1つの十八番、道を踏み外してしまった男と女の破滅的流浪的な恋愛サスペンスです。

というかそんな言い訳まず信じるか!?というツッコミをしたくなります。普通写真とは違う女が来たらまずその通信交際会に連絡するとか姉に確認とかするだろ……って思ったけどマッチングアプリとかでもなんかありそうな事変……←



しかし作品中のどこか変だ……と言う雰囲気は最高です。このじわじわは癖になります。店も友達も世間からの評判も何もかも失い、遂にはジュリア=ボニーの間にも隙間風が吹いた時、もしかして「逆カルメン!?」と思いましたがそう来るか〜! 題名が上手いと思いました。暗闇の中で踊ったら相手の顔が分からないように、ボニーの為に罪を犯したデュランドの果ても、最後の最後で愛に気がついたボニーの姿も悲し過ぎます。



「暗闇へのワルツ」でした(・∀・)/

川から流れてきたのは、なんと……(*^o^*)/