ロバート・A・ハインライン No.40◇明日を超えて◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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パンアジア帝国に支配された今、アメリカの希望は数少ない軍人と、軍の極秘兵器に託された!

 

 

 

 

 

◇明日を超えて◇ -Sixth Column(The Day After Tomorrow)-

ロバート・A・ハインライン 内田昌之 訳

 

 

アメリカ合衆国は占領された! 世界侵略をつづねてきたパンアジア帝国によって、政府中枢は壊滅、全土が一気に制圧されたのだ。だが、ロッキー山脈の奥に、精鋭の科学者たちが集う軍の秘密基地があった。いまやここが唯一の希望となったのだーーが、予想外の実験事故で壊滅に近い状態に陥っていた。そして、それこそが、逆襲の切り札となる大発見だったのだ! ひと握りの軍人と科学者は、苦闘しながら反撃計画を作り上げていくが……巨匠ハインラインが遺した問題作、邦訳。

 

 

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パンアジア帝国に占領されたアメリカの希望はロッキー山脈に隠された、研究者たちが集う秘密基地だ。例え軍が壊滅してもそこに居る200人余りの研究者たちが開発した兵器が有れば可能性が残る。

 

 

ところがホワイティ・アードモア少佐が派遣された時秘密基地は予期しない実験で大多数が死んでしまった後だった。いまやメンバーは6人しか居ない。アードモアは原因を追求させながらもパンア占領下のアメリカの情報を手に入れるため、兵士の1人、トーマスを下ろす。

 

 

トーマスの報告はアメリカ国民の士気を悉く奪う深刻なものばかりだったがそれでもそこに反撃開始の引き金があるような気がしてくる。そのうち秘密兵器ーーーレドベター効果の方もなんとか仕組みが分かり、非常に強力な武器として応用が効くようになった。

 

 

そしてついにアードモアは思いついたーーー占領下のアメリカ人に唯一許されている宗教の自由ーーー新興宗教をたちあげてアメリカ人を集める! かくして軍人や科学者たちは"モタ神"を信仰する教祖や司祭になり、少しずつ反撃のメンバーを集めていく……

 

 

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「明日を超えて」です(・∀・)

4年ぶりのハインライン、なんと未翻訳作品、邦訳。本国発表は1949年なのでかなり初期の作品です。デビューしてからまだ2年しか経っていません。本屋で見かけて「なんと!」と思いましたよ。

 

 

さて、気になるのは"問題作"「どういう意味の問題作よ……ハインラインのことだからまさか……」と思いながら読みましたーーーというかあらすじを見て気がつくべきだったーーーこれはえげつないー……パンアジア帝国ってまんまあの帝国〜……いや、この手の話は今までなかったわけじゃない。「怪人フーマンチュー」も「高い城の男」も「ユナイテッド・ステイツ〜」のこの類だ。話しか知らないけど← それは別に良いと思うんだ。歴史ifものは珍しくない。不愉快なのはあからさまにモデルがわかる国を特定して差別用語まるだし、というところなんだ。んでいて「もし日本人作家がアメリカに対して同じ表現やったらどうなる?」とか考えてしまったわ……絶対無理だろうなぁ〜色々な意味で!

 

 

確かに当時これを翻訳して発表しよう、とは思えんだろ……最初の序文はあって大正解。ステレオタイプにもほどがあり過ぎてハインラインが誤解される。いやもともとそういうところあったけど……やっぱりドイツ系移民だから思うところあったのかな……っていうか人類は皆、猿から進化したって知ってるよな? パンアジア人の性格や行動も批判のつもりだったのかも知れないが……これ、今だったら発表出来なかっただろうな……しかし当時はそう考えるのが普通だった、真っ当だった、恐ろしいことに! と過去の愚かさを詳らかにすることには意味が有る。

 

 

「明日を超えて」でした(・∀・)/

次はお久〜な宝塚(*^o^*)/ !