少女たちは嘘と憧れと復讐心、そして自らの死でもって地獄を作り上げた!
◇少女地獄◇
夢野久作
可憐な少女姫草ユリ子は、すべての人間に好意を抱かせる天才的な看護婦だった。その秘密は、虚言癖にあった。ウソを支えるためにまたウソをつく。【夢幻」の世界に生きた少女の果ては…。
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1.少女地獄
・何でもない
・殺人リレー
・火星の女
2.童貞
3.けむりを吐かぬ煙突
4.女坑主
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「文豪ストレイドッグス」制覇計画、7巻編。《組合》に狙われながらも辛くも危機を脱したナオミと春野事務員でしたが2人には連れが居ました。ーーー自分を傷つけた人間の精神を異常操作させてしまう恐ろしい異能者が!
文スト一のクソガ……いや最狂ボーイ(言い直したことは自分の中で最大の温情だと思ってる)、夢野久作ことQの異能で敦は守るべき2人を逆に殺しかけてしまいます。《組合》も武装探偵社も潰すためなら手段の清濁を問わない森鷗外のやり方に太宰も流石に考えてしまいます……
今回本書を取り上げたのはこの惨状がまさに「地獄」だと思ったからです。「少女」もいるし。最初は読みたい理由をこじつけただけでしたが、読んでみるとますます正しかったことが分かりました。
本書のタイトルロール、「少女地獄」。この作品は連作で職業も歳も全く違う女性たちの行動が自他共に地獄である現実を作り上げていってしまう狂気な物語です。嘘、憧れ、復讐心……1の姫草ユリ子は21世紀で時々見かけられます。彼女たちの狂気は本当に恐ろしい。しかしそれはそうしなければ男たちに否応なしに蹂躙され、自己を保てない哀しさも見え隠れしています。
彼女たちは自ら選んだとはいえ、揃いも揃って残酷な最期を迎えます。つまり「文スト」のQ少年も最期は自分が作り上げた地獄によって身を滅ぼすんだろうな。
他3編は短篇。主人公は皆、男ですがどの短編にも女が出て来てそれぞれ主役級の存在感を発揮します。夢野久作は乱歩の「黒蜥蜴」のような魔生の女に惹かれていたのか、男はいずれこのような女に限らず、全ての女に勝てないことを知っていたのか願っていたのか……
「少女地獄」でした(・∀・)/
次はーーーこの度「このミス!」1位に選ばれました!!(*^o^*)/