レイ・ブラッドベリ No.29◇さよなら、コンスタンス◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




TwitterもといX: 「https://twitter.com/KYoCaTHouWoR
エブリスタ: https://estar.jp/users/153193524

往年の女優は何から逃れようとしているのか? 「死者の書」を送りつけたのは?

 

 

 

 

◇さよなら、コンスタンス◇ -Let's All Kill Constance-

レイ・ブラッドベリ 越前敏弥 訳

 

 

死者の名を刻む手帳。失踪した女優。連続する謎の死。隠棲する新聞蒐集家。闇に閉ざされた映画館の小部屋。嘆く神父。雨に沈む納骨堂。街の地下を吹きぬける雨の匂い。さまよう探偵小説作家。夜の抒情と都市の憂愁をこめて巨匠が贈る最新長篇小説。

 

 

☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆

 

 

1960年の暗い嵐の晩にわたしの友人であるコンスタンス・ラディガンはやって来た。びしょ濡れで怯えながら。……彼女は「死神」から逃げていた。「死神」は電話帳の姿をしていて、特定の名前には赤い十字が書かれている。そして彼女は一夜が明けると消えていた。

 

 

わたしは友人刑事クラムリーと憎まれ口を叩き合いながらコンスタンスを探す旅に出る。それはコンスタンスを探すと同時に、歴史を辿る旅でもあった。大量の新聞、水晶玉と孔雀、大量の女優たちの写真……しかし彼らは次々と死を遂げる。「死者の書」を届けたのは何者か? コンスタンスが逃げ続ける本当の理由は?

 

 

☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆

 

 

「さよなら、コンスタンス」です(・∀・)

ブラッドベリがお届けする、というかブラッドベリにしか書けない幻想探偵小説、第3作目。また月日は流れ、主人公は作家になり、海辺の昔の部屋を借りて執筆中。例のごとく妻のマギーは留守です← 前回あんなだったのに仲直り出来たんか←

 

 

1人の女性の歴史とその謎、そして本当の「望み」を追う迷路のような小説です。今までも迷路のような探偵小説ですが、今度は1人の女優の軌跡を辿る意味でもより迷路です。関係者は選りに選って変人しか居ません← 最後……彼女の望みは達成された、と信じています。

 

 

 

毎度お馴染み警察官クラムリー、本当に盲人かよと疑いたくなるほど鋭敏なヘンリーも健在です。さらに前回登場したドイツ人監督フリッツも加わって皮肉と憎まれ口の応酬は倍増しています。毎回毎回この会話が楽しみなんですよねー。端から聞くとただの悪口ですが、きちんと信頼や心配の気持ちはこもっているんです。特にクラムリー。

 

 

ブラッドベリ発幻想探偵小説はこれにて幕。幻想探偵小説はいつかジャンルを確立出来そうですが、ブラッドベリだからできたのであって、なかなか難しいかも……

 

 

「さよなら、コンスタンス」でした(・∀・)/

「黒衣の花嫁」、それは夫殺しの名前ーーー(*^o^*)/