人はどこまでも幸福に怯える哀しい存在だーーー………
◇きりぎりす◇
太宰治
「おわかれ致します。あなたは、嘘ばかりついていました。……」
名声を得ることで破局を迎えた画家夫婦の内面を、妻の告白を通して印象深く描いた表題作など、著者の最も得意とする女性の告白体小説「燈籠」「千代女」。著者の文学観、時代への洞察がうかがわれる随想的作品「鴎」「善蔵を思う」「風の便り」。他に本格的ロマンの「水仙」「日の出前」など、中期の作品から秀作14編を収録。
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1.灯籠
2.姥捨
3.黄金風景
4.畜犬談
5.おしゃれ童子
6.皮膚と心
7.鷗
8.善蔵を思う
9.きりぎりす
10. 佐渡
11.千代女
12.風の便り
13.水仙
14.日の出前
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「文スト」6巻編。ポートマフィアによって《組合》の餌にされ、間一髪で危険を回避した事務員を保護する為、駅に迎えに来た敦と太宰ーーーだが?
何故か犬をおちょくっております← この後太宰は「犬の方がよっぽど難解だよ」と宣いますが、どう見ても嫌いには見えません(というかドッグフードなんてなんで持ってきたんだ……)。要するに「行動や心中が予測出来ない」ところが苦手なのか? あとこの言葉には狂犬呼ばわりされる芥川のことも含めていたのかなー……
史実の太宰治にはこんなことが出来るわけがありません。犬が本当に嫌いでした。それでも犬を飼っちゃうんだから不思議、というか変な人です←その顛末が4に活かされています。犬が嫌いでやりこめようと研究しようとしたら何故か好かれてしまった挙句に皮膚病に冒された犬ポチを飼い始める話です。犬は自分を嫌う人を嫌う筈なのですが……研究する=関わりを持とうとする=「もしかして僕のこと好き!?」な思考回路だとしたら犬って超ポジティブだな……
続いてこちらは「文豪失格」の2冊目。宮沢賢治と共にお互いの作品の見せ合いっこ。賢治は「やまなし」を紹介しますが、まさかのヤク疑惑が←
確かに自分も初めて読んだ時、混乱したような。
そんなわけで「畜犬談」を目当てに読みましたが他の作品も楽しめました。タイトルロールの「きりぎりす」は「どこにキリギリス出てくるんだよ」と思いましたが、まさかの思わぬ比喩。この表現、凡人な自分には思いもよらない。
どの作品の、どの人物を見ても太宰治が居る。世間と自分に悲観する、と思ったら自分の幸福には怯え、人に「嘘つき」
と呼ばれてもそれを止めることが出来ない……悲しい哀しい人間たち。世間様や家、他人に見せる太宰治と自分1人だけの太宰治は全然顔が違います。その差異が大きすぎた故にこの作品らは生まれました。
「きりぎりす」でした(・∀・)/
目の前には超高価切手が! もしそれが喉から手が出るほど欲しかったら……貴方はどうする?(*^o^*)/