アイスピックで人を殺し、宝石を奪う"氷屋"! 殺人犯は目撃され、逮捕出来たと思ったが!?
◇アイスピック◇ -The Ice Pick Murder-
コーネル・ウールリッチ 稲葉明雄 訳
男と女と彼らの情念が作り出す、単純だが力強いストーリィ・ライン。そして、別に特徴的な時代風俗が描かれるわけではないのに、読者に伝わってくる時代の雰囲気。ウールリッチの短編にはいつも30年代、40年代のアメリカの懐かしい香りが漂っています。
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殺人課のベイリー刑事と相棒ヘスティングスは"氷屋"と綽名される強盗殺人犯にかかりっきりになっている。富豪の郊外住宅に押し入っては金庫番号を聞いた後にアイスピックで刺し殺す非情な犯人だ。指紋は取れることは取れるがどれも型が一致しないのだ。
ただし今回はついていた。目撃者がいたのだ。殺された富豪には愛人がいてその女がその犯人の目と眉と額を見たのだ。顔の全貌が分からなくてももう1度見れば分かる、と言う。果たして愛人は富豪がいたという酒場の主人モスコーニと名指ししてベイリーは勇んで逮捕されたがその直後、"氷屋"が犯行を重ね、指紋がモスコーニと一致しない!?
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「アイスピック」です(・∀・)
サスペンスは無い、純粋な謎解きものです。ウールリッチで読むとなんか新鮮。冷酷な強盗殺人犯、一致しない指紋、目撃証言があるのにまた新たな犯行、意外な手がかり、とふんだんに謎が込められています。
あらすじにもありますけど確かに古き良き(好きな言葉じゃ無いけど)アメリカの香りが漂っていますね。葉巻、とか映画しかお目にかからない言葉はあるもののそれだけしかないんですよ。その時代を表す言葉って。
仮に今の私たちがこの時代を書いたら歴史小説という別物になるし、その時代に生きている、っていうのは強みですよね。いつかコロナも過去のことになって、未来の作家たちがこの時代の空気感をどう演出しようか、悪戦苦闘する日が来るのでしょうか。
「アイスピック」でした(・∀・)/
限りなく存在が不安定な「某」。その生き方は……(*^o^*)/