死んだ老婦人の死は実は殺人だったのではあるまいか? 彼女と関わりのあった作家たちが次々と……
◇窓辺の愛書家◇ -The Postscript Murders-
エリー・グリフィス 上條ひろみ 訳
多くの推理作家の執筆に協力していた、本好きの老婦人ペギーが死んだ。死因は心臓発作だが、介護士のナタルカは不審に思い、刑事ハービンダーに相談しつつ友人二人と真相を探りはじめる。しかしペギーの部屋を調べていると、銃を持った覆面の人物が侵入してきて、一冊の推理小説を奪って消えた。謎の人物は誰で、なぜそんな行動を?『見知らぬ人』の著者が贈る傑作謎解き長編。
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ウクライナの介護士ナタリカは自らが世話をしている老婦人ペギー・スミスが死んでいるのを見つけた。彼女は90歳という高齢だったが階段を昇り降りし、連盟に止められるまでは水泳までやっていた彼女が心臓発作で死ぬだろうか? それ以上に気になるのはテーブルの上に置かれてた推理小説に書かれている献辞だ。『殺人コンサルタント』。……彼女は本好きで犯罪小説をかなり読んでいたがそれだけで捧げられたりするだろうか。
ナタリカはハービンダー・カー部長刑事に相談する。殺された、という明確な証拠は無いものの、『殺人コンサルタント』という言葉はハービンダーも気になる。しかしナタリカが友人のエドウィンとベネディクトと本の整理をしているところに銃を持った覆面人間が押し入り、1冊の本『断食をして神に感謝せよ』を盗って逃げた。何故そんなことを? やはり彼女は……
ペギーは一体何者だったのだろう? 死を仄めかすような謎めいたメッセージを受け取っていたことが分かったナタリカ一行はペギーが話作りの助言をしていた作家デックス・チャロナーのトークイベントに行くが彼はその直後に急死する。ペギーの死も殺人だと確信したナタリカはアバディーンで行われる文学フェスティバルに向かう。そこにはペギーの助言を受けた作家たちがいて……
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「窓辺の愛書家」です(・∀・)
前作に続き、本に対する愛と敬意を込めた殺人の物語です。
またもジュリアン・バトラー現象に出くわしましたがそれぐらい魅力的な作家と作品がいっぱいです。黄金時代の作家なんて気になります!
主人公の1人はまたもインド人刑事で同性愛者のハービンダー。今回は家族もがっつり事件の渦中に巻き込まれます。もう彼女のシリーズですね。もう一方はウクライナ人介護士ナタリカとその友人。登場人物、皆、アンチ・テンプレな現代的で「今時のミステリはこうでなきゃね!」の匂いがします。
殺人と本の謎以上に死んだペギー・スミスが魅力的すぎる。本好きで犯罪小説のプロット作りが出来るほど知識に富んで博識で……ミス・マープルとはまた違う意味で超頭良い。それに経歴もスリリング。もうそのまま主人公になっちゃえよ←
……というかウクライナに対するネガティブイメージがエグすぎるorz。日本での発表こそ2022年ですが本国の発表は2020年なんですよね。やはりウクライナ侵攻は起こるべくして起こった、という認識なんですかねあちらでは……予想外だったのはこんなに長期化することぐらい?
今やナタリカどころか現実世界の、たくさんのウクライナ人がウクライナに帰れなくなってしまいました。登場人物の1人が言う台詞が胸を抉る……(;_;)
「窓辺の愛書家」でした(・∀・)/
次は世界最古にして最大のベストセラー!?(*^o^*)/