ウィリアム・アイリッシュ No.3◇裏窓◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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犯罪者は我々の直ぐ後ろに、死は我々の直ぐ目の前に。

 

 

 

 

 

◇裏窓◇ -Somebody on the Phone and the Other Stories-

ウィリアム・アイリッシュ 村上博基 訳

 

 

戦後のわが国に紹介されたミステリ作家のなかで、もっとも広く歓迎されたサスペンス・スリラーの第一人者ウィリアム・アイリッシュの傑作の粋を集めた待望の短編集。大都会のなかの人間の孤独、しのびよる死の影の戦慄、絶望と焦燥にさいなまれる犠牲者等、常に意表をつく技巧と主題の多様性に加えて、作者の独壇場ともいうべき哀切な雰囲気描写と緊迫したサスペンスは永遠に読者を魅了せずにはおかない強烈な磁力を秘めている。

 

 

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1.裏窓

 (It Had to be Murder)

 ……「クイーンの定員 Ⅲ」参照。

 

 

2.死体をかつぐ若者

 (The Corpse and the Kid)

   ……ラリーがその部屋に入ると不貞を働いた継母の死体が有った。殺人犯の父親の余命はあと数ヶ月。ラリーは尊敬している父を守る為、必死でアリバイ工作を講じようと策をたてて死体を運ぶが……

 

 

3.踊り子探偵

 (Dime a Dance)

 ……ジョイランド・ダンスホールの踊り子ジンジャーは仲の良い同僚のジュリーが店に来ていないことを知り、嫌な予感を覚える。果たしてジュリーは自宅で絞殺死体で見つかる。ジンジャーはジュリーの仇を取るために自分でも捜査を開始するが……

 

 

4.殺しの翌朝

 (Murder on My Mind)

 ……マークは警察官。過労気味であろうとも通報が有れば出向かなければならない。今日の事件は1人の男が寝ている間に殺された事件。マークは調べれば知るほどその部屋に対して既視感を抱く……

 

 

5.いつか来た道

 (Gun, Gentlemen)

 ……スティーヴン・ボティリヤーの「英雄」は自分のご先祖さまーーー同じ名前を持つ、曽祖父の弟だ。スティーヴンにとって彼は誰よりも近い人になり、偶然か必然か顔が瓜二つになる。やがて彼はグランドツアーに出かけるがダニュービアという場所は何故か知っているような気がして……

 

 

6.じっと見ている目

 (The Case of the Talking Eyes)

 ……ジャネット・ミラーは息子ヴァーノンの妻ヴェラが情夫と殺人計画を立てているのを聞いた。でも何も出来ない。彼女は身体を動かさず声も出せず、意識をはっきりさせることと瞬きしか出来ないからだ。彼女は必死にヴァーノンに伝達を試みるが息子は「ガス事故」で殺されてしまった。悲嘆にくれるジャネットの前に1人の青年がやって来る……

 

 

7.帽子

 (The Counterfeit Hat)

 ……マーティは災難に遭った。入ったレストランで人の帽子を間違えて被ってしまったのだ。気付いて引き返した時にはもう相手はいなかった。仕方なく連絡先だけ教えて家に帰るがそのハットから20ドル札が何枚も出て来た。しかも……

 

 

8.誰かが電話をかけている

 (Somebody on the Phone)

 ……ハンターの妹はギャンブルにハマり宝石からハンターの口座の金まで巻き上げられた挙句に自殺した。5回コール音を鳴らした相手に「殺された」と見たハンターは拳銃でその始末をつけるが部屋に帰ったら、また……

 

 

9.ただならぬ部屋

 (Mystery in Room 913)

 ……その男は特に印象が良いも悪いも無かった。普通の男だった。アンセルム・ホテルの913号室に泊まった。それだけだ。が、その男は夜中に飛び降りをやらかした。部屋に怪しいところは無く、遺書もある。明らかに自殺に見えたが保安係のストライカーは納得しない。忘れかけた頃、また913号室で飛び降りが。そして、また……

 

 

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「裏窓」です(・∀・)

 

 

ヒッチコックによって映画化された名短編「裏窓」を始め9編! サスペンスはもちろんのこと、一見オカルト!?な短編からファンタジーまで。都会や街の中で生きる人たちを襲う恐ろしい災難、スリルだらけの顛末、そしてどんでん返し。

 

 

3と6は正当な謎解きものですが主人公の選び方がアイリッシュ=ウールリッチっぽい。特に6は主人公を全面的に応援したくなる。若者、ナイスだ!

 

 

2は思いがけない結末。或いは皮肉。いままでの苦労が……← ある意味神は見ている?

 

 

4と8はラスト1ページに恐ろしいラストもの。ラスト一行はありふれていますが怖くてこれぞ短編の醍醐味、とも思う。

 

 

1と7は都会ならではの恐怖。皆も好奇心とものの取り違えには御用心! 犯罪の片鱗を知って命取られるかも!?

 

 

本書は5と9のようにオカルト!?とファンタジーが収録されています。特に5はれっきとしたファンタジーです。この既視感は4と似ていますが異なるものです。9はホテルの保安係、つまりホテル専属の探偵ストライカーが活躍する話です。自衛意識の高いアメリカらしい発想だなー。ストライカーは「ホテル探偵ストライカー」シリーズとして短篇集が編めるぐらい作品が有ります。……ということはストライカーが勤めるアンセルム・ホテルは毎回事件だらけなんだろうか。死神に憑かれたホテルになってしまう←

 

 

「裏窓」でした(・∀・)/

次は「文豪ストレイドッグス制覇計画」5巻編!(*^o^*)/