フリードリヒ・フォン・シラー◇ドン・カルロス◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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父王の妃との悲恋は、政情と混ざり合ってやがて大国スペイン王家を脅かすーーー!

 

 

 

 

 

◇ドン・カルロス◇ -Don Carlos Infant von Spanien-

フリードリヒ・フォン・シラー 北通文 訳

 

 

シラーが『ドン・カルロス』の制作に取りかかったのは一七八三年で、最初それは、皇太子と継母の悲恋を中心とするスペイン王室の家庭悲劇として構想されていた。ところが、その後の五年間に、悲恋の物語は、スペインに対するオランダの独立戦争を背景とする雄大な政治的史劇へと、大きく変質したのである。(中略)教会と国家の横暴に対する憤りは『ドン・カルロス』においては、絶対専制君主を人道思想に目覚めさせようというはかない期待に取って代わられる。(以下略)

 

 

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雪組公演

グランド・ロマンス『ドン・カルロス 

〜シラー作「スペインの太子 ドン・カルロス」より』

脚本・演出 木村信司

平成24年(2012年)3月9日〜4月9日(宝塚大劇場)、4月27日〜5月27日(東京宝塚大劇場)

*併演作品は『Shining Rhythm!

 

 

シラー作「スペインの太子 ドン・カルロス」を元にしたミュージカル作品。16世紀のスペインを舞台に、恋、友人との駆け引き、父との確執などを通して成長する王子ドン・カルロスの姿を描く。スペインの国王フェリペ二世(未涼亜希)の現王妃イサベル(沙月愛奈)は、かつて王子カルロス(音月)の婚約者であったが、国同士の取り決めが変わり、カルロスの父である国王に嫁いだのだった。狩りの最中に王妃と二人でいたことを国王に問い質されたカルロスは答えをはぐらかそうとする。二人の関係について疑念を抱いた国王は、カルロスの親友であり、優秀な臣下であるポーザ侯爵(早霧)に二人の動向を窺うよう命じる。再びカルロスの下に王妃の女官のレオノール(舞羽)が密書を携えてやって来る。かつて叔母ファナ(涼花リサ)の許で共に育った幼馴染であり、密かに想いを寄せるレオノールの来訪にカルロスは心を躍らせる。

 

 

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「ドン・カルロス」です(・∀・)

前回読んだ中に2012年雪組で上演された『ドン・カルロス』の原作が収録されているのを知り、続けての「宝塚文学制覇計画」です。

 

 

2012年は私が推していた男役さんが退団しまった年であり、自分はそこで終わっちゃいましたが母と妹はまだ観劇を続けていたのでまぁ、何をやっていたのかぐらいの情報は入ってきます。故にこの作品があのベートーヴェンの第九の歌詞を考えたあのシラー原作であることを知りました。

……つまりヴェルディ歌劇と同じなわけだ。こちらの方は「あー、確か息子の婚約者が父王と結婚して禁断の悲恋になっちゃうんじゃなかったっけ、光源氏と藤壺のバリエーションみたいだなぁ」ぐらいの知識は有ったので、「すっからかんに忘れちゃったけど宝塚版も同じくらいドロドロしてんだよなぁ、やだなー」とおもいながら本書を読みました。

 

 

カルロスの父、フェリペ2世がエリザベス1世の異母姉メアリー1世の夫だったり、サンバルテルミの虐殺で人生初の笑いをこぼした等々歴史の勉強になると同時にポーザ侯爵の命を捨てた演技と友情には胸を打たれるものがありました。主人公よりもポーザ侯爵の篤い献身に涙……!

 

 

読み終わった後10年ぶりに宝塚版『ドン・カルロス』を調べると……

「…………どうしてこうなったよ、おい

シラーはドン・カルロスことアウストゥリアス公の父親フェリペ2世への叛逆とネーデルランド(当時スペイン領)渡航の史劇悲劇を、元婚約者でなんの因果か継母になってしまったエリザーベト・ド・ヴァロワの悲恋を軸に被占領国だったネーデルラント解放の政情とそれを訴えるポーザ侯爵の感涙必死の身代わりと高潔な友情を描いた筈。それがどうしてエリザーベトとの悲恋が全部無しになって侍女との普通の恋愛になっちゃうんだよ!?

歴史ものあるある「もし本当はこうだったら」を意識したものと思われますがいやいやそんな配慮するぐらいだったら実は死んだのは2人とも替え玉で、本物は手に手を取ってネーデルラントに渡りました☆ の方がずっと良かった……orz というかこんな設定にするぐらいだったらシラーの名前を出さないで欲しかった。「ドン・カルロス異聞」とかにすれば良かったのにorz

くわー、ある意味知りたくなかった……木村信司さんは歌劇ものを得意とし、当たり作も多いので今回はその改変が見事に失敗したというかなんというか……

 

 

「ドン・カルロス」でした(・∀・)/

次は巷で見かけた気になる本です(*^o^*)/