コルソン・ホワイトヘッド◇地下鉄道◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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生きる為の自由を求め、南へ向かえ! その「地下鉄道」に乗って、人々に助けられて!

 

 

 

 

◇地下鉄道◇ -The Underground Railroad-

コルソン・ホワイトヘッド 谷崎由依 訳

 

 

19世紀初頭のアメリカ。南部のジョージア州にある農園での奴隷少女コーラは、ある日、自由な北部を目指して農園から逃亡することを決める。轟々たる音を立てて暗い地下を走る鉄道、〈地下鉄道〉に乗って――。しかし彼女の後を、悪名高い奴隷狩り人リッジウェイが追っていた。

 

 

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少女コーラは唯一脱走に成功したメイベルを母に持つ、アメリカ南部ジョージア州のランドル農園の奴隷少女だ。主人のランドルは冷酷で奴隷たちは皆、ディストピアと気紛れに現れるユートピアの中で人間性を喪失しながら生きている。

 

 

ある日コーラは新入りの奴隷シーザーから逃亡を持ちかけられる。最初は断ったがついに決意を固めた。シーザーは「駅長」フレッチャーの力を借りて地下に潜る。そこには鉄道が通っている。黒人奴隷を、奴隷制度の廃止された北部に送る、自由への鉄道だ。しかしサウス・カロライナに着いてもノース・カロライナに着いてもユートピアはまやかしで黒人奴隷の自分達は一生逃げられないのだ、人間としての自由を得ることすら至難の業であることを思い知るーーー

 

 

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「地下鉄道」です(・∀・)

父から借りました。ハヤカワepi文庫を読むのは実は初めてです。

 

 

アメリカの最大にして最難関の負の歴史、奴隷制度とそれに抵抗する黒人奴隷、彼らを助ける地下組織「地下鉄道」の物語です。

南部の繁栄は奴隷制度のもとで成っていましたが、それに反対する人たちもたくさんいました。彼らは地下で逃亡する黒人たちを助け、北に送りました。その組織名を「地下鉄道」と言いました。

その「地下鉄道」が本当にあの轟音たてる鉄道だったら? という空想を形にしたのが本書です。えっ、ノン・フィクションじゃなかったのか!と思いましたが、よくよく考えてみると地下鉄道を作る財力あったら大統領に立候補できますよね← それにアーサー・C・クラーク賞受賞作品……え、これSFなの? よくよく調べると「地下鉄道」は外でも会話できるように鉄道用語や駅での業務内容で暗号にしました。よく出来てる……

 

 

時代が19世紀の初頭なので南北戦争も勃発していない、南部では奴隷制度ありての繁栄が当たり前、オハラ家のような豪農場主がいっぱいいたような時代です。足下の土地は自分たちのもの!という発想の下、アメリカ人は同じアメリカ人ではなく、アフリカから黒人たちをたくさん攫い、買って、労働力に当てました。……もう書いているうちから自分が非情みたいになってますが、小説に書いてあることはそれ以上に非情で悲惨なんだ! 本物の「地下鉄道」は轟音をたてないけどそれ以外は皆、真実だ!もう黒人奴隷の運命や彼らを助けた白人の運命が本当につらくてこっちまで読むの辛かった……アメリカのこういうところが……こういうところが……ああ、もう!!

母親メイベルのまさかの運命、コーラはずっと逃げ続け、手に掴んだ幸運すら手放したり、壊される……黒人奴隷ってだけでなんでこんな運命……果たして終盤、あのリッジウェイから逃げおおせたコーラは今度こそ本当の意味で「逃げおおせた」のでしょうか? それが分からないところがコーラの一生逃げ回らなければならない運命を示唆しているようで怖い……

 

 

人種問題は今日避けて通ろうと思うこと自体、愚かなことになっています。日本だとあまり考えることが有りませんが、もうその言い訳が通用しなくなる日がもう目の前まですぐに迫って来ているでしょう。

 

 

「地下鉄道」でした(・∀・)/ 

……ってヤバい、復刻イベのアシモフ届いてなーい!!😱 そんなわけで明日は本屋で買ったもののお楽しみです←え