彼女自身の人生や環境、全ての感情は物語上で"変容"し、読み手の前に生々しく立ちはだかるーーー
◇掃除婦のための手引き書◇ -A Manual for Cleaning Women-
ルシア・ベルリン 岸本佐知子 訳
毎日バスに揺られて他人の家に通いながら、ひたすら死ぬことを思う掃除婦(「掃除婦のための手引き書」)。道路の舗装材を友だちの名前みたいだと感じてしまう、独りぼっちの少女(「マカダム」)。
波乱万丈の人生から紡いだ鮮やかな言葉で、本国アメリカで衝撃を与えた奇跡の作家。大反響を呼んだ初の邦訳短編集。
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1.エンジェル・コインランドリー店
2.ドクターH.A.モイニハン
3.星と聖人
4.掃除婦のための手引き書
5.わたしの騎手
6.最初のデトックス
7.ファントム・ペイン
8.今を楽しめ
9.いいと悪い
10.どうにもならない
11.エルパソの電気自動車
12.セックス・アピール
13.ティーンエイジ・パンク
14.ステップ
15.バラ色の人生
16.マカダム
17.喪の仕事
18.苦しみの殿堂
19.ソー・ロング
20.ママ
21.沈黙
22.さあ土曜日だ
23.あとちょっとだけ
24.巣に帰る
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「掃除婦のための手引き書」です(・∀・)
Twitterで見て気になっていた本が文庫化されたと聞いて遂に買っちゃいました。Twitterを見ていると気になる本だらけです。財布の紐が緩みがちになるので油断大敵です←
ルシア・ベルリン(1936〜2004)は自身の波瀾万丈な人生を元に優れた短編を書きましたがあまり知られた作家では無く、どちらかというとマニア向け?な作家だったよう。表紙の女性が作者本人なのですがカッコいい女性です。3度の結婚と離婚はともかくとしてアルコール依存症には見えない……でもそうなんですよね。作中の「わたし」がルシア本人なら。
彼女は自身の体験を元に短編を書いたと前述しました。しかし決して自伝では無いです。彼女は実体験で得た全ての出来事、全ての感情を編集し脚色しました。語りがとても上手です。そして潔いほどの直喩。それらで語られる掃除婦、囚人たち、アル中と病気の家族を持つ「わたし」の人生が読み手の私たちの隣に立ち上がります。
最初はピンと来ましたが読み終わる頃になるともっと読みたくなっていました。彼らの人生をもっと見ていたい、という気持ちにさせられました。……いやー、推理小説しか読まなかった私とは思えない感想です←
「掃除婦のための手引き書」でした(・∀・)/
次は宝塚文学制覇計画、時代小説行きます(*^o^*)/