川上弘美 No.12◇このあたりの人たち◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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居るかも知れない、居ないかも知れない、あり得るかも知れない、あり得ないかも知れない、そんな町とそんな町に住む私たちの話。

 

 

 

 

◇このあたりの人たち◇

川上弘美

 

 

そこには、大統領もいて、小学校も、公民館も、地下シェルターもNHKもある。朝7時半から夜11時までずっと開店しているが、町の誰も行くことのない「スナック愛」、六人家族ばかりが住む六人団地の呪い、どうしても銅像になりたかった小学生。不穏で、温かな場所。どこにでもあるようで、どこにもない、〈このあたり〉へようこそ。

 

 

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「このあたりの人たち」です(・∀・)

 

 

「このあたり」としか言いようのない不思議で不可解な町とそこに住む、いそうでいなさそうな人たちの話です。

 

 

語り手の「わたし」、中学校時代は不良だったけどフランスへ留学して一ブランドを立ち上げた親友かなえちゃんとイタコになったかなえちゃんのお姉ちゃん、町の人たちは絶対に行かない「スナック愛」のおばさん、アメリカ帰りの川又さん、凶悪な犬クロを飼っていた赤井くん、銅像になりたがった道夫、影を2つ持つ影じじい、顔も名前の読みも何もかもそっくりな羊子と妖子等々……自分の身の周りにはいないけどじゃあ他の人には?と言われたら居ない、とはっきり言えないような気がしません?

 

 

「このあたり」の町は6人家族ばっかりが住む、6人家族だけの社会を形成してしまう団地があり、どうやって生計をたてているのか分からない「スナック愛」があり、誕生日を迎える人しか入れない音楽の家があり、警察や銀行が主催する運動会を行い、時々治安が悪くなったり、病気が流行って町の様子は一変しては元に戻る……自分たちはその町には住んでいないけどじゃあ他の人は?と言われたら住んでいるわけがない、とはっきり言えますか?

 

 

不思議な読後感をもたらす本です。また解説に面白い仮説が載っているのでそちらもぜひどうぞ。私はあまり難しいことを考えず、「このあたり」は人によって違うから私が思う「このあたり」にきっとその町はあって、しかし私たちがたどり着けない世界線に「このあたりの町」はあるのだ、と思いながら読んでいました。うーん、私が「このあたりの町」の人たちの1人なら私は何処で何に出交わすだろう。

 

 

「このあたりの人たち」でした(・∀・)/  

これで川上弘美は一旦終了です。次はTwitterで気になった本2冊を続けて送って多和田葉子、そしてとうとうレム氏の読破達成が近いーーー!! (*^o^*)/