人と人が触れ合う時、私たちの中の水と水が混ざり合っていくーーー夢と過去の中のママとパパを尋ねる私と陵がたどり着いた愛の形。
◇水声◇ -Suisei-
川上弘美
1996年、わたしと弟の陵はこの家に二人で戻ってきた。ママが死んだ部屋と、手をふれてはならないと決めて南京錠をかけた部屋のある古い家に。夢に現われたママに、わたしは呼びかける。「ママはどうしてパパと暮らしていたの」―愛と人生の最も謎めいた部分に迫る静謐な長編。読売文学賞受賞作。
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「水声」です(・∀・)
川上弘美も11冊目に入りました。私、凄いですわ←自画自賛。昔だったら絶対に読まないタイプの作家だったので(爆)
本書も現在と過去を、今昔の時間をを行き来しますが、もう1つ、「パパ」と「ママ」、わたしこと「都」と弟「陵」の愛を確かめ合う話です。都はもちろんのこと、沢山の人を惹きつけてやまなかった「ママ」とその彼女と長年一緒に暮らしたパパの恋愛と都と陵姉弟は同じです。
現実世界なら禁忌的なこの恋愛はこの小説世界なら危うい中で肯定されています。勿論性愛もあるのですが精神的な繋がりこそ作品の中でいう「それ以上のこと」なんだろうな。
またこの家族はママを始め、皆、強烈ではないけど決して揺るがない「個」の持ち主です。それを皆で尊重しあっている。そういうのって良いなぁ。
本書は川上弘美作品には珍しく実際の地名と出来事が登場します。家族のこと、姉弟のこと、世間のこと……これは恋愛小説であると同時に1つの家族物語でもあるのです。
「水声」でした(・∀・)/
次は今のところ←ラストの川上弘美です (*^o^*)/