ラグナル・ヨナソン No.6◇閉じ込められた女◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




TwitterもといX: 「https://twitter.com/KYoCaTHouWoR
エブリスタ: https://estar.jp/users/153193524

クリスマス。物凄い吹雪に閉じ込められた寂しい農村とレイキャビークのフルダの家で悲劇の幕が上がる!

 

 

 

 

◇閉じ込められた女◇ -The Mist-

ラグナル・ヨナソン 吉田薫 訳

 

 

真冬のアイスランド高原地帯。猛吹雪が襲う人里離れた農場に、一人の男が訪ねてくる。農場主の夫妻は、あり得ない天候の下での来訪を不審に思うものの、男を招き入れる。男はレオと名乗り、ハンティング中に仲間とはぐれたと言った。
やがて男は、夫婦の隙を見て家の中を探り始めた。
真冬にハンティングに来たという男の言い分がそもそもおかしかった。夫のエイナールが男の荷物を調べると、多額の現金とナイフが見つかる。疑念と怒りを抱いたエイナールはナイフを手にレオと対峙する。
妻のエルラは恐怖にかられて母屋を飛び出し、地下室へと逃げ込んだ。しかし、そこで待っていたのは底知れぬ闇と、永遠に続くかと思われる時間だった。
その頃、レイキャヴィーク警察の女性警部フルダは、若い女性の失踪事件を追っていた。
男優位の警察社会で自分の能力を示す必要があった。
一方、娘のディンマがフルダに心を閉ざしている様子なのが気がかりだった。家族の中で、思わぬ悲劇が進んでいた。

 

 

☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆

 

 

1988年2月。フルダはとてつもない悲しみに耐えながら警察署に出勤している。今、抱えているのは若い女性の失踪事件だ。小さな島国アイスランドではとても珍しい……そんな中、東部の農場で殺されたと思われる遺体が見つかったと連絡が入る。

 

 

1987年クリスマス直前。エイーナルとエルラは昔ながらの農場を営んでいる。冬は猛吹雪で人との交流も遮断される、村からも相当離れた場所だ。そこに1人の男が訪ねてきた。名前はレオ。最初は不運な遭難者だと思ったが話に違和感を覚え、レオは何か目的があってここに来たのではないかとエルラは恐れる。しかも家探しまでしている! やがてエイーナルとレオは争いになり、エルラは地下室に閉じこもる。そこで……

 

 

クリスマスは華やかで楽しいものなのにフルダの気持ちは冴えない。というのも娘のディンマが部屋に閉じこもったきり全く出て来なくなったからだ。夫のヨンはいずれ出て来ると言うが……フルダも反抗期だと思うが実態はそんな優しいものではなく、やがて悲劇が訪れる!

 

 

☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆

 

 

「閉じ込められた女」です(・∀・)

時間を逆行し、悲劇の元凶を突き付けるフルダの物語、遂に完結! 本書では遂にフルダの後半生に暗い影を落とした娘ディンマの悲劇が起きます。ディンマについてはもう悲劇の全容を知っているので「違う、そうじゃない!」とか「悪魔は隣にいるからー!」とか心のなかで叫びながら読みました。本当辛い……ラストはフルダ、ちょっと笑いますが、そんな笑い、本当ならすることなど無い人生だったはずなのに……3巻全て揃ったので正統派みたいに時系列順に読むのも有りだと思います。しかしこの順番に読んだらフルダの人生がより悲惨で孤独なものだった、と印象付けられること間違いなしです。

 

 

さて、事件。フルダが前々から抱えていた事件とクリスマスに尋ねた謎の訪問者事件が交互に描写が入り、それが一本に繋がっていく様子は寒気がします←褒めています。というか本当にアイスランドの冬って暗いんだな……日本人がアイスランドの冬を過ごす!と決めて長期滞在して最初に参るのが寒さでは無く、暗さだと言うのは本当です。本を読んだだけでそう思うのだから実際行ったら想像以上だと思います。それに豪雪が加わり、人との交流は断たれるというのだからその孤独はとてつもないものです。アイスランド、とても行ってみたい国の1つではあるけれど住みたいとは言えないな……というか言っちゃいけないな……

 

 

本書の最後には別シリーズの主人公アリ=ソウルの番外編が収録されています。彼の物語はまだ終わっていません。しかしどんなに深くて暗い極夜にもいずれ陽が登る日が来ます。アリもどんなに苦味を味わっても恋人とのクリスティンや家族のことに決着をつけられる日が来ると信じています。

 

 

「閉じ込められた女」でした(・∀・)/ 

次は「私」と「先生」の少し不思議な語らいです(*^o^*)/