知らないうちに間違いと罪を犯していた！？ 泰平はエンチア星での2つの社会に飛び込むが……
◇泰平ヨンの現場検証◇ -Wizja Lokalna-
スタニスワフ・レム 深見弾 訳
長旅を終えて地球に戻り、休暇のためスイスへ出かけた泰平ヨンは、たまたま出会ったグヌス教授から地外省の歴史機研究所に招待された。そこで見せられたのは、驚くべきシミュレーションだった。なんと『航星日記』に収録された「第十四回の旅」の記述が間違いだらけで、惑星エンチアの二国から抗議文が来ると予測されたのだ。しかも、友人タラントガ教授に問い合わせてみると、「第十四回の旅」の時に使用した百科事典まで偽物だったという。泰平ヨンは地外省の記録保管所でエンチアにいて調べ始め、ついには真相を究明すべく現場検証のためエンチアに旅立つが……！？
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長旅を終え、休暇に出かけた泰平ヨンはスイスで散々な目にあった。キュスミッヒなる紳士から城を寄贈されたと思ったら何故か訴訟騒ぎに発展したのだ。もううんざりした泰平ヨンは偶然会ったグヌス教授から地外省の研究所への招待を受ける。
しかしそこでも訴訟騒ぎになりかねない事態が発生した。なんと自身の著作『航星日記』の記述が間違いだらけで惑星エンチアから抗議文が送られると機械が予測したのだ！ 当然何のことか分からない。自分は百科事典まで利用したのに……だがその百科事典まで偽物と有ればもうやることは1つしかない。惑星エンチアとその2つの社会ーーークルデルとルザニアについて徹底的に調べ上げ、赴くこと！
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注意！ 「泰平ヨンの航星日記」が未読の方はまずそちらを先に読んでください！
「泰平ヨンの現場検証」です(・∀・)
例の如くまた1週間もかかってしまいました……というのもこれ、半分専門書ですよ！ それも宗教、歴史、生物学の！ 脳みそパンクするわ！！← 八つ当たりしても仕方ないんですが、やっぱりレムは難しい……
本書はここでも登場する「第十四回の旅」が実は間違いだらけだった、このままだと抗議文が来て星間問題に発展するかも！という由々しき問題から話が急展開します。
まず問題の「第十四回の旅」はエンテロピアなる惑星と狗留伝竜(クルデル)なる狩猟標的が出てくる、やっぱりはちゃめちゃ物語なのですが全然中身が違う！！ まず狗留伝竜は狩りの対象でもなければ娯楽でもないし、こんな人間的な社会じゃない！！ 読めば分かりますが、「逆に何でこうなった」状態。というか泰平が間違って使用したその辞書、どっから来たんだ。
さて、エンチアには2つの国、というか社会が存在します。1つは問題のクルデルという巨大竜の中で悪臭の中で暮らしている原始的な社会、2つ目は「知精」なる原子に生から死まで管理されているルザニアという未来社会。私が興味を持ったのは後者でこの「知精」なるものはここで登場した「GOLEM Ⅳ」の変化形と言えます。またこの社会は不老不死を実現出来ていますが、そのやり方が異質過ぎて違う、こんな形を望んでいたんじゃない感が凄い。望まれた「知精」がやがて人間の手に負えないものになってしまう様、しかしそれを捨てきれないところはまさにディストピア。うーん、クラークの「都市と星」のようには明るい未来とはならないんだな……レム氏は未来は信じているけど人間に対してどこか不信感があるんだろうな……あの時代のポーランド人だもんな……
レム氏の小説は半分以上を専門書に突っ込んでいるので読むの大変ですが読破まであと2冊！ ……と思ったら9月にレムコレクション・セカンド・シリーズ刊行！？ もっと早く言ってくれたら一旦ストップかけたのに！ もう「レムコレクション」の2冊で終了しちゃうよ！ ……と泣き言をツイートしたら国書刊行会に「いいね」を押されました。なんか申し訳ない……本邦初訳が有れば喜ぶぜ、きっと読むのにすごく時間がかかるけど！
「泰平ヨンの現場検証」でした(･∀･)/
もう時間がかかり過ぎて次、シムノンの何だっけ……？って感じですわ← (*^o^*)/