「犯人」は「わたし」を遡らせ、雲に撒くーーー
◇雲をつかむ話・ボルドーの義兄◇
多和田葉子
とつぜん届いた犯人の手紙から、「雲蔓式」に明かされる、わたしの奇妙な過去―読売文学賞と芸術選奨文科大臣賞を受賞した「雲をつかむ話」。レネの義兄の家を借りるためボルドーへ向かう優奈の、ひと夏の断章―ドイツ語で書かれドイツで発表されたのち、自身で日本語小説に転じた「ボルドーの義兄」。各国語に翻訳され、欧米、アジアのみならず、世界中で新作が待望される日本人作家、魅惑の二長篇。
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1.雲をつかむ話
2.ボルドーの義兄
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「雲をつかむ話も・ボルドーの義兄」です(・∀・)
多和田葉子も7作目に入りました。が、やはり難解ー!! いや難解というよりかじっくりとゆっくりと言葉を咀嚼しながら読まないとこの本の味が分からないので読むのにめちゃくちゃ神経を使います。
1はフライムートなる「犯人」から届く手紙が「わたし」の過去を連想するように明らかにしていきます。言葉の1つ1つが幻想的で詩的メタファーがふんだんに使われています。文章はきっぱりしていますが、言葉の使い方が独創的。超新感覚。
2は言葉を操る多和田葉子ならでの作品で1章1章ごとに反転した漢字が付いています。これは絵と漢字の境界の揺らぎを表しているそうで「なるほどなぁ!」と思ったり。考えてみればそうだよな。外国や外国人にとって漢字は絵にも見えるかも知れない。
極端な話、2作とも雲を掴むような話でしたが←、言葉の選び方や使い方が独創的で多和田葉子にしか描けない文章が堪らなく羨ましくなりました。
「雲をつかむ話・ボルドーの義兄」でした(・∀・)/
ここでまた通常の読書の輪に戻りまして、久しぶりのメグレ警視です (*^o^*)/