ジョルジュ・シムノン No.111◇メグレの財布を掏った男◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




TwitterもといX: 「https://twitter.com/KYoCaTHouWoR
エブリスタ: https://estar.jp/users/153193524

メグレの財布を掏った男から思わぬ電話が。彼は犯人なのか……? それとも……?

 
 

 
◇メグレの財布を掏った男◇ -Le Voleur de Maigret-
ジョルジュ・シムノン 伊東守男 訳
 
 
満員バスのなかでメグレは財布を掏られた。すぐ気づいて追跡しかけたが、バスを降りた犯人は雑踏に紛れてしまった。ところが、その泥棒が財布を送り返し、メグレに会いたいと電話してきたのだ。興味を惹かれてメグレは会ってみる。神経質そうな若い男で、ひどく憔悴している。男の案内で彼のアパートに行くと若い女がピストルで殺されていた。死体はすでに腐敗しかかっている。女は彼の妻で二日前、外出から帰宅して死体を発見し、自分が犯人にされるのを恐れて逃げまわっていた、と彼は主張する。メグレは半信半疑ながら、男の仲間たちに聞き込みを始める。
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆
 
 
春のパリ。混雑していたバスに乗っていたメグレは買い物袋をぶつけてくる女の人に気を取られて財布を掏られてしまう。勿論そのことにはすぐ気がついたが、犯人はすぐバスを降りて人混みの中に消えてしまった。
 
 
ところが明くる日、財布が金も中に入っていたメダルも抜かれないまま送り返された。しかもその掏った人間がメグレに会いたいと電話をかけて来たではないか! どうやらその「彼」は財布の持ち主があのメグレ警視だと知り、助けを求めたいらしい。彼のアパートに行くと腐敗が始まっている彼の妻ソフィの銃殺死体があった……
 
 
夫フランシスは自分は犯人では無いが、状況的に不利だから逃げていたと主張する。メグレは彼とソファの周りにいた人間たちーーー映画関係者とその妻たちに会うが……
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆
 
 
「メグレの財布を掏った男」です(・∀・)
 
 
まさかのメグレの財布が掏られるというある意味衝撃のオープニングです。メグレのような御仁でも掏られるんだ……どんだけ命知らずなんだ……と思ったら掏摸の世界にも色々あるようで← その度メグレのお世話になるのは嫌ですからね、誰だって。
掏られるのもびっくりですが、中身もそのまま帰って来て掏摸に会って、そいつから死体を見せられる方がびっくりですよね。なんか本格ミステリーっぽい、映画のようなオープニング……なんかメグレもエンターテイメント化して来た?←今更 終わりもメグレ・ワールドにはない感じでしたし……これから、もっと増える?
 
 
もうシムノンも100冊以上を執筆し、メグレシリーズももう終盤近く。シムノンもメグレも知名度は抜群でたびたび映画化・ドラマ化されて来たと思います。なのでシムノンはメディア界の人間とよく会ったり、事情にも精通していたかもしれません。今回の容疑者は映画監督志望の若者からプロデューサー、映画に出たいうぶな娘っ子まで。どいつもこいつも秘密や隠し事を持った一役も二役もありそうな連中です。そもそも被害者の妻ソフィも一言では語れないタイプの女だし……
 
 
「メグレの財布を掏った男」でした(・∀・)/ 
次はレオポルド警部の日常風景が見える!?(*^o^*)/