古川日出男 No.1◇大きな森◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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時代を、場所を、国境を、時間を、人間を、言葉を、文学を、次元を超えた列車は「大きな森」の中を疾るーーー

 
 

 
◇おおきな森◇ -FFFForesTTTT-
古川日出男
 
 
東北から南米へ 
戦前から現代へ 
時空の森を貫き 
その列車は疾る 

小説家兼探偵・坂口安吾が、失踪した高級コールガールの行方を追う「第一の森」。 
記憶を持たない男・丸消須ガルシャが乗った列車で不可解な殺人事件が起きる「第二の森」。 
そして私は小説に導かれ京都、長崎、東北と漂泊し、手記「消滅する海」をしたため続ける。 

ミステリ、SF、幻想小説にして世界文学。 
前人未踏のギガノベル、ここに誕生!
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆ 
 
 
第一の森
第二の森
消滅する海
 
第二と第三の森
第三と第一の森
第三と第二の森
 
一九二八年
第三の森・北半球
第三の森・南半球
一九五〇年
 
第一の海
第二の海
第三の海と一九四九年
 
九足す一
九足す一(再度)
九足す一(みたび)
 
 
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しかしダンテの達した天国は僕には多少退屈である。それは僕らは事実上地獄を歩いているためであろうか?
芥川龍之介「文芸的な、余りに文芸的な」
 
人間は、決して、親の子ではない。
キリストと同じように、みんな牛小屋か便所の中かなんかに生れているのである。
坂口安吾「不良少年とキリスト」
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆
 
 
「おおきな森」です(・∀・)
 
 
このブログに登場するにはとんでもない変わり者なのですが、雑誌「群像」の広告文で興味を持ってしまったので仕方がない。
 
 
ここのところ、幻想文学や純文学に多大な興味を持っています。勿論推理小説も好きですが、それだけで良いのか? という疑問が渦巻いて仕方が無い。決してマンネリとは言いたく無いけれど、その疑問に答えるには「じゃあ推理小説以外も読めば良いのだよ」という答えしか浮かばない以上、それに従うしか、無いですよね?
 
 
そんなわけでうぇーい、登場。古川日出男。名前すらまともに聞いたことが無かったのですが、初めて読むなら本書は、激しく間違っているような気分が本を手に取った瞬間から半端なかったです。だってこれ、900ページ強の半端ない分厚さ。こんなのを持ち歩くのは激しく嫌だったので家でのみ読んでいました。従ってこれ、9月の終わりから読んでいたんですよ。1ヶ月かけて読み終えました。
 
 
私は今、物凄い小説を読んでいる。と始終思いながら読みました。森ごとの話の筋は単純かもしれない。しかし坂口安吾、宮沢賢治、小林秀雄といった日本文豪からガルシア・マルケス、ホルヘ・ルイス・ボルヘス、フリオ・コルタサルといった南米文豪を引き合いに出す、幻想のスケールの大きさ、話を紡ぐ言葉の選び方、並べ方がまるで根源を探り寄せるような緻密さとその豊富さ。まるで世界の真理を発見しに行くような。
小説でしか出来ない、言葉でしか出来ない冒険が、この小説だと出来る。
そして私はそういう小説を書きたいと思ってしまった。
勿論推理小説は好きです。人間というものは書いて行きたい。それには生死が密接に関わるミステリーで行うのが一番手っ取り早く、真理に一番に近づくことが出来るから。
一方の幻想小説は世界の真理に一番近づくことが出来る文学なのかも知れない。現実世界ではあり得ないことが立て続けに起きるからこそ、その相違の中に世界の真理を見出せるかも知れない。そして人間の感情をも徹底的に掘り起こせるかも知れない。
 
 
いや、本当に凄い小説に出会ってしまった。意味が分からないの連続かも知れないが、言葉でしか出来ない冒険がしたいという望みを叶えてくれた。この小説、文庫化したら絶対に買わなきゃ。オリンピックオリンピックオリンピック……だった筈がコロナコロナコロナ……になってしまった2020にわたしはバイブル的一冊に出逢ってしまった。この衝撃、クリスティー以来。
 
 
「おおきな森」でした(・∀・)/
次はまた復刻イベで世界各地の密室に入りに行きませんか?(*^o^*)/