トーベ・ヤンソン No.9◇ムーミン谷の十一月◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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ムーミン一家のいない、ムーミン谷。

 
 

 
◇ムーミン谷の十一月◇ -Sent I Novemver-
トーベ・ヤンソン 鈴木徹郎 訳
 
 

説明

まっ白な雪にとざされて、長い冬眠に入る前のムーミン谷の十一月...人恋しくてムーミン家に集まってきたフィリフヨンカ、ホムサ、ヘムレン、スナフキンたち。ところが、心をなごませてくれるはずのムーミン一家は旅に出ていて...。ヤンソンが読者に贈るファンタジックで魅力的なムーミン物語の最終巻。
 
 
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第1章 スナフキン、旅に出る
 
 
第2章 ホムサは、お話を作るのが大すき
 
 
第3章 フィリフヨンカの大冒険
 
 
第4章 スナフキンと五つの音色
 
 
第5章 ヘムレンさんは自分がきらい
 
 
第6章 魔法の水晶玉
 
 
第7章 なんでも、わすれるのだ
 
 
第8章 電気を食べる、ちびちび虫
 
 
第9章 たまねぎまげのミムラねえさん
 
 
第10章 ご先祖さまは冬眠中
 
 
第11章 さびしい心は、おしゃべりになる
 
 
第12章 ちびちび虫は、むくむくむく
 
 
第13章 フィリフヨンカのさかな料理
 
 
第14章 ムーミンパパに、木の上の家を
 
 
第15章 ちびちび虫、うなる
 
 
第16章 ムーミンからの手紙はどこだ
 
 
第17章 大パーティーの準備
 
 
第18章 シーツの上を「冒険号」は走る
 
 
第19章 スクルッタおじさんはねむるのだ
 
 
第20章 ヘムレンさん、海へのりだす
 
 
第21章 ムーミン一家のヨットが見えた
 
 
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「ムーミン谷の十一月」です(・∀・)
 
 
……一応これ、最終巻なんですよね。ところが、ムーミン一家は誰1人として登場しません。前回は仲間が誰も登場しませんが、今回は主役達が登場しません。ムーミン一家が海へ旅立った一方で〜……の話だと思っていましたが、どうやら違うのかな。主役が登場しないその意味はきっとラストで分かります。とても美しい場面だと思っています。
 
 
ハッとするほど愛想が無い家に住むフィリフヨンカ、ボートを持っているのに海に乗り出したことのない肝っ玉の小さなヘムレンさん、ムーミンママに期待をする小さなホムサ、自分の名前をも忘れて「スクルッタ」という名前をつけたスクルッタおじさん、この中で唯一自分に満足しているミムラねえさん、そして五つの音色を探す旅人スナフキン。彼らは皆、ムーミン一家に会いに来た。自分たちに足りない何かを求めて。けれどもムーミン一家は居ない。さあどうする……スナフキンが世話を焼き、フィリフヨンカが料理をしたり、皆でパーティーをする中で何かが変わって行き、それに満足してムーミン一家に会うことなく別れを告げます。スナフキンも。最後に残ったのはムーミン一家に一度も会ったことの無いホムサです。
 
 
話で聞いたママを慕うホムサが残り、ムーミン一家のヨットの明かりを見つける場面は今までの作品のようなハッピーエンドを「目の当たりにする」のではなく、ハッピーエンドを自ら迎えにいくようななんとなく旅の終わり、夜に語って聞かせる話の終わりのような感があります。ママに憧れていたホムサはそのママでも抱えていたであろう寂しさや悲しさに寄り添って慰めたいと思うようになります。
 
 
ムーミンたちは決して妖精ではありません。「何と言い表して良いかは分からないが、とにかく存在しているバーレルセル(Varelser)」だとトーベは言いました。とにかく存在している、生きている、それが1番大事だ。谷でも灯台のある島でも何処でも生きてものを考え、何かを発見しているなら。ムーミンたちは確かに現代のファンタジーであり、神話なのです。……とそこまで考えられたのなら、私の場合、大人になってから出会った方が良かったのかも知れないな。
 
 
「ムーミン谷の十一月」でした(・∀・)/ 
次はあの名探偵が老人になってーーー?(*^o^*)/