シャーリイ・ジャクソン◇くじ◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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日常生活に見える人間の黒い感情を目の当たりにしてみませんか?

 
 

 
◇くじ◇ -The Lottery or, The Adventures of Jamas Harris-
シャーリイ・ジャクソン 深町眞理子 訳
 
 
毎年恒例のくじ引きのために、村の皆々が広場へと集まった。子供たちは笑い、大人たちは静かにほほえむ。この行事の目的を知りながら……。発表当時から絶大な反響を呼び、今なお読者に衝撃を与える表題作ほか二十二篇を収録。本書で描かれるのは、一見ありふれた日々の営み。そして、その被膜から滲む人間の悪意、嫉妬、嘲笑、絶望……。鬼才ジャクスンの容赦ない筆によって引き出された黒い感情の数々が、あなたの心に爪を立てる。 
 
 
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Ⅰ.
 
 
1.酔い痴れて
 (The Intoxicated)
 
 
2.魔性の恋人
 (The Daemon Lover)
 
 
3.おふくろの味
 (Like Mother Used to Make)
 
 
4.決闘裁判
   (Trial by Combat)
 
 
5.ヴィレッジの住人
 (The Villager)
 
 
Ⅱ.
 
 
6.魔女
 (The Witch)
 
 
7.背教者
 (The Renegade)
 
 
8.どうぞお先に、アルフォンズ殿
 (After You, My Dear Alphonse)
 
 
9.チャールズ
 (Charles)
 
 
10.麻服の午後
    (Afternoon in Linen)
 
 
11.ドロシーの祖母と水兵たち
    (Dorothy and My Grandmother and the Sailors)
 
 
Ⅲ.
 
 
12.対話
  (Colloquy)
 
 
13.伝統ある立派な事務所
  (A Fine Old Firm)
 
 
14.人形と腹話術師
  (The Dummy)
 
 
15.曖昧の七つの型
  (Seven Types of Ambiguity)
 
 
16.アイルランドにきて踊れ
  (Come Dance with Me in Ireland)
 
 
Ⅳ.
 
 
17.もちろん
  (Of Course)
 
 
18.塩の柱
  (Pillar of Salt)
 
 
19.大きな靴の男たち
  (Men with Their Big Shoes)
 
 
20.歯
  (The Tooch)
 
 
21.ジミーからの手紙
  (Got a Letter from Jimmy)
 
 
22.くじ
  (The Lottery)
 
 
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「くじ」です(・∀・)
 
 
完璧な短編と知る人ぞ知る、名高い名作「くじ」が入ったサキ並みにブラックな短編です。いやサキとも違うんだよな……こちらの方がより現代的で恐らく作品と同じ黒い感情に当てられた人、恐らく多いと思います。「あ、これ、マウント取られてんな……」とか「これ、当て付けじゃねーか!」とか……ああいう感じです。そんなもの日常生活だけで十分だよー! と泣きたくなりますが、それでも読みたくなるのは本好きゆえの悲しい性です。
 
 
「くじ」はたった十数ページに伏線が張り巡らされ、ラスト1文の恐ろしさは格別です。この村人たちめっちゃ怖い!
 
 
また作者はジェームズ・ハリスなる男を神に背を向けたもの、神に見放されたものを誘惑する悪魔の手先として2をはじめとする22篇の半分近くに登場させています。彼は最後、全てを捨てさせた女を海に誘い出し、船もろとも沈めてしまいます。人は誰でも黒い感情を持っていますが、ジェームズ・ハリス、又はジム、又はジミー、又はジェイミー、又はハリス氏、又は紺のスーツの長身の男が心の隙をつけ込みます。
 
 
人間が元々持つ残酷性、悪魔性を露わにさせて読者に鳥肌を立たせる……本書は黒い感情に囚われた時に読むと戒めになるかもしれません。
 
 
「くじ」でした(・∀・)/
次は再びドイツとオーストリアの幻想の森に入りませんか?(*^o^*)/