ヴォルフ・ハース◇きたれ、甘き死よ◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




TwitterもといX: 「https://twitter.com/KYoCaTHouWoR
エブリスタ: https://estar.jp/users/153193524

ウィーン赤十字救護センターVS救急同盟!?

 
 

 
◇きたれ、甘き死よ◇ -Komm, Süßer Tod-
ヴォルフ・ハース 福本義憲 訳
 
 
白昼のウィーン中心街で、血液銀行社長とその恋人が狙撃された。その背後には、「人命救助」を賭けて熾烈なライバル争いを繰り広げる2つの救急隊組織の存在が…。ウィーンで人気のシリーズ日本初登場。ガイドマップ付き。 
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆ 
 
 
ブレナーは警察官、探偵を経て今はウィーン赤十字救護センターで働いている。今日も軽口と辛辣なジョークを交わしながら現場に駆けつける。……が、なんと患者は既に搬送されたというではないか。また救急同盟の仕業だ! 最近、赤十字救護センターの仕事が救急同盟に奪われるという事態が頻発していた。社長のジュニアは元探偵だったブレナーに捜査を命じる。
 
 
そんな時、血液銀行の社長シュテンツェルが愛人イルミと共に射殺された。それを目撃したのがブレナーの仕事仲間、ムンツとビンボーと呼ばれるグロースだったのだが、そのグロースが救急車の中で死体になった。ブレナーはかつて警察の御用になった盗聴マニアオスヴァルトらの協力を仰いで救急同盟のことを調べつつ、グロース殺しの真相にも迫っていくが……
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆
 
 
「きたれ、甘い死」です(・∀・)
 
 
ついにウィーン・現代ミステリーシリーズ、最終巻です。題名だけ読むとクリスティーの『甘美なる死(デリシャス・デス)』みたいですが、本書の由来はバッハのカンタータです。うわ、ドイツ語圏っぽい! ちなみにGoogleで調べたら最初に出たのはエ○ァ○ゲ○オ○でした。違ーう!
 
 
本書はなんとシリーズ探偵ものでブレナーという男を主人公にしたシリーズの3作目にあたります。元警官、元探偵、現、救護隊員という大変変わった経歴の持ち主です。捻くれていて、饒舌で……そう、ウィーンの人たちは皆、饒舌なんです。皆! 詩人であり、歌人なんだ。しかしマタイ受難曲をBGMに追跡シーンをやるところは圧巻でした。というか斬新。
 
 
警官かーらの探偵……って何処かで聞いたことありますが、きっとおっちゃんも麻酔針を打たれ続けた功績で病院とかに勤めることになるんだろうか←
 
 
探偵役が救護隊員って面白いな……と思ったのですが、よくよく考えると怪我人や重病人、時には遺体を搬送する救護隊員って探偵になり得ますよね。今まで無かったのが不思議だ。といっても搬送した遺体から事件を解く訳じゃ無く、内部問題の解決や秘密を解き明かす方です。また救護隊員も個性的で癖があって、それも面白いです。
 
 
「きたれ、甘き死」でした(・∀・)/
次はずっと前に頼んでいたやつがやっと届きました(*^o^*)/