エルンスト・ヒンターベルガー ◇小さな花◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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幼い娘を凌辱した父親を殺したのは誰か!?

 
 

 
◇小さな花◇ -Kleine Blumen-
エルンスト・ヒンターベルガー 鈴木隆雄 訳
 
 
小雪舞う真冬のドナウ河岸に、行方不明の幼女の死体が漂着した。司法解剖の結果、児童虐待の事実が判明し、犯人の目星もすぐについたかに思えたが…。ウィーン下町生まれの実力派作家がおくる、社会派ミステリー。
 
 
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ウィーン11区ジンメリングに住むイロナという幼い娘が行方不明になった。捜索願が出されるや否やウィーン全区の警察署と派出所にイロナの捜索要請が出された。しかし天候不順という不運が重なってイロナの行方は分からない。結局見つけたのは警察ではなく、酔っ払いの青少年だった。しかもドナウ河からイロナを引き上げたのだ。
 
 
捜索は最悪の結果で終わったが、より最悪はここから始まった。というのも少女イロナの身体には虐待、それも性的暴行の痕が生々しく残っていたのだ。ホットヴァーグナー警部補を始め、ウィーン警視庁殺人犯捜査課二犯は父親がイロナに日常的に性的暴行を加え、あまつさえ殺害し、母親はそれを黙認していたと考えるが今度はその父親が殺される。そして母親も……
 
 
ホットヴァーグナーは時折襲い掛かる身体の不調と闘いながら操作を続けるが、芳しい捜査はあがらない。その突破口を見つけたのは事件が起こる直前に配属されたモニカ刑事だったーーー
 
 
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「小さな花」です(OvO)
 
 
現代ウィーン・ミステリシリーズ、早くも5冊目(シリーズとしては6冊目。実は4作目を訳あって飛ばしています)。扱っているのは児童虐待という非常に重いテーマで初!?の社会派ミステリーです。北欧ミステリーかよー!? と思うくらい、重いです。そもそも題名もドイツ語が分かる人なら分かるかもしれません……しかし私、恥ずかしながらドイツ圏ミステリーってシーラッハしか読んだことないや……ドイツやオーストリアのミステリーの主流って英国みたいに謎解きやユーモア重視かはたまた北欧みたいに社会派か、何方なんでしょう。
 
 
親が子を犯す……吐きけものですわ。ホットヴァーグナーじゃないけど死ねば良いのに……当時(1993年)のウィーンでは5人に1人の子どもが虐待を受けていると書いてありましたが、今の日本も他人事では無いのでは? 「うんわ、外国って怖っ!」とか思う人はちょっと新聞でもニュースでも読み返そうか。
 
 
さて、読むだけでも字を書くだけで吐きそうになる犯罪ですが、捜査する警察陣のユーモアが救いです。私生活は崩壊しながらも新人モニカに温かい視線を送る主人公のホットヴァーグナー、係長でしょっちゅう喧嘩しながらもホットヴァーグナーを信用する係長のシュテルン、同僚のヴァーゼネッガーにあだ名の「坊ちゃん」にぴったりな若いベルガー巡査部長に、警察のやり方に慣れない新人モニカ。会話がいちいちユーモアたっているのでシリーズ物なんじゃないかと思いましたが、それは当たっていて本書はシリーズ3作目。他の事件はどう手がかけるでしょう。気になります。
 
 
「小さな花」でした(・∀・)/
次はある宗教団体に行き着いた先は……(*^o^*)/