松葉杖を携えた小さな女探偵が難事件に挑む!
◇マン嬢は死にました。彼女からよろしくとのこと◇ -Die Mann ist Tot und Läßtsie Grüßen-
ヘルムート・ツェンカー 上松美和子 訳
私立探偵ミニー・マン嬢は体に障害を持つが、頭はとびきりの切れ者。ある日二人の男にいきなりトランクに押し込まれ運ばれた先には、指名手配中の女実業家が待っていた…。タフでおちゃめな女探偵が松葉杖を武器に悪を打つ。
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私立探偵ミニー・マンは低身長だし、ウィスキー飲兵衛だし、常に松葉杖が必要だがそんなことは屁でも無い。何故なら彼女は言葉は達者で切れ物だからだ!
そんなある朝、ミニーの家に2人の何者かが侵入して彼女をトランクに押し込んだ! 連れて来られたのはエヴァ・シュネラー未亡人のところ。女実業家でゲームセンターのオーナーでもあるが、逮捕する前にトンズラした。ミニーを拉致したのはそんな事情があったからだ。
未亡人の依頼は亡くなったーーーと思しき夫が実は生きていた、ここに連れて来て欲しい。と言うものだった。ミニーは相棒のジョーイに頼み、新聞に載っていた『夫』の素性を探ってもらう。結果『夫』はヨゼフ・クラップという名前でシュテリングという武器会社の社長をしていることが分かった。ところがシュネラー未亡人のもとに遣わす前にクラップは何者かに殺害された。そしてミニーの死刑を要求する謎の脅迫状が届く。考えた末ミニーは「死ぬ」ことを思いつく!
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「マン嬢は死にました。彼女からよろしくとのこと」です(・∀・)
題名からしてミステリーチックです。てっきりマン嬢の死から話が始まると思っていたのでこのマン嬢がヒロインだと知って「え、どういうこと!?」となりました。
本書は現代ウィーン・ミステリーシリーズの第3作目ですが初めて純粋に推理を楽しめます。同時にキャラクターものでもあります。障害なんてクソ食らえ、武器は松葉杖、友はウィスキーと犬のヴッソーの強かな女探偵がウィーンの街を歩きます。右脚が短いという重いハンデを背負っていますが、其処に暗さはありません。またデブな相棒ジョーイとミニーのライバル警官、ビットナーやゼトラックも出て来てその面でも面白いです。
強い女探偵といえばV.Iのようにハードボイルドですが、最初いきなりトランクに押し込められるのだからなかなか負けていない。今や女も障害者も健康な男並みに危険な言動で危険な駆け引きをし、容疑者全てと張り合ったって良い。
「マン嬢は死にました。彼女によろしくとのこと」でした(・∀・)/
次はウィーン市街の静かさを打ち破る猟奇事件!(*^o^*)/