ジェイムズ・トンプソン No.4◇血の極点◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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崖っぷちのカリを最大の危機が襲う!

 
 

 
◇血の極点◇ -Helsinki Blood-
ジェイムズ・トンプソン 高里ひろ 訳
 
 
フィンランド警察特殊部隊を率いるカリ・ヴァーラ警部の家の窓に、脅迫文つきの煉瓦が投げ込まれた。誰かが命を狙っているのだ。そんな折、エストニア人の女性から、売春組織にさらわれた娘の捜索を頼まれる。カリは大富豪たちによる地下取引の現場に潜入するが…。闇組織と脅迫者から、少女と家族を守れるのか? 彼がした最後の決断とは? 作者急逝による、フィンランド警察ノワールシリーズ最終巻。
 
 
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先の事件でPTSDに陥ったケイトはアヌを連れて家を出て行ってしまう。カリはしばしば2人に会いに行くが、ケイトの様子は良くない。しかも家の中に煉瓦が打ち込まれたれた日、ケイトはアヌを迎えに来なかった。そのまま姿を消してしまった。なんてことだ。煉瓦を打ち込んだ奴は今度は催涙弾、包丁型のガラスを投げつけて来た!
 
 
カリは部下のスイートネスに援軍を要請し、恋人のイェンナとミロの従姉妹ミルミヤが来てくれることに。ケイトは手紙を残して出奔した。マイアミにいることが分かったケイトはミロが連れ戻してくれることになった。
 
 
1000万という言葉には心当たりがある。アンディ・サウッコが狂言誘拐で手に入れた金だ。賠償としてカリたちが奪った金だ。フィンランド上層政治家たちは真生フィン人党の指導者マリネンを始め、カリたちは彼らの醜聞を集めていた。汚職に塗れている。其処にエストニア人の少女を助けて欲しいと依頼が舞い込み、その人身売買組織にロシア大使が絡んでいるという。醜聞とミロとスイートネスのチームワークと義憤と信念を武器に、遂に反撃に出る時が来た!
 
 
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「血の極点」です(・∀・)
 
 
まさに衝撃の最終第4作目。こ、これが最終巻だなんて……作者の急逝が惜しまれます……! しかしこれが発表できて良かった。3巻で最終巻だったら史上最強に「読者置いてけぼり」にしてますわ……
 
 
さて、4巻。ケイトが家を出てしまうという私生活崩壊の兆しが見えかかりーの、遂にカリが国家捜査局に入った本当の動機「裁ききれない売春組織摘発」の為に動きます。その動機は「ケイトに認めてもらう!」なんだからいじましいとも言える……(/ _ ; ) カリはきったないことを指揮していますが、根は高潔で良い人なんだよね……しかし今回はそれ故に弱さが表面化し、ミロやスイートネスが苛つきます。彼らは変人ですが、現実を分かっています。
 
 
……しかしまぁ、普通警察官は事件を解決するのに醜聞を武器にしないし、ましてや完全犯罪も考えない! 相変わらずノワール・アヴァンギャルド街道爆進中! ミロが考える完全犯罪はガガチです。果たして成功するか!? っていうか成功して良いんだよね!? でもそうしないと3人の人生破滅だし……! となんだか良心とモラルでハラハラドキドキよ……それにケイトはカリのところに帰って来てくれるか、夫婦の愛は戻るのか、という面でもハラハラドキドキです。
 
 
本作はまだ続きがあるということでしたが、読むと本書は1シーズンの終わりであり、次巻からはきっと第2シーズンだったんじゃないかと思えるのでこれで終わり! と言われても納得できます。しかし次シーズンの彼らの活躍も期待していたのですが……此処は安らかにトンプソン氏の冥福を祈ろうと思います……
 
 
次からはレーナ・レヘトライネンという女性作家の作品をお送りします。きっとこのシリーズのようなセックス&バイオレンスは無いと思います←
 
 
「血の極点」でした(・∀・)/
次は……貴婦人だって探偵します!(*^o^*)/