脅迫状を送られた大地主を殺したのは誰か!?
◇ヘルシンキ事件◇ -Lavean Tien Laki-
マウリ・サリオラ 牧原宏郎 訳
ヘルシンキ近郊に住む独身の老資産家アルマス・ホーソには2人の愛人がいた。若いウェイトレス、イリヤ・リンナと中年の未亡人エルザ・エスコーラだ。ホーソはしばしば、戦友で土地の管理人のシストーネンの運転で、ヘルシンキに住む愛人たちのもとに通っている。その上、2人にたびたび熱烈なラブレターを送っていた。その地方名士の醜聞は何者かのかぎつけるところとなり、ホーソあてに脅迫状が送られてくる。
ホーソから調査を依頼された新米弁護士オスモ・キルピが、美しい秘書マリータ・リンドロースと共に調査を進めている最中に、ホーソは何者かに射殺されてしまう。その場に居合わせたエルザ・エスコーラに嫌疑がかかるが、キルピはエルザの無実を信じ、彼女の弁護を引受ける決心をする……
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4月。銀行口座のお金が寂しい上に秘書につっけんどんな態度を取られる新米弁護士オスモ・キルピのところにホーソという老人が依頼にやってきた。ホーソは金はあるが、孤独な老人で2人の愛人にラブレターを送ることで寂しさを埋めていた。が、何者かが自分の愛人に当てた手紙を盗み、その引用した詩を書き連ねて金を要求して来たのだ。なかなか酷い文面でホーソの神経を逆撫でして来る。
ホーソの愛人は2人。若いウェイトレスのイリヤと中年の落ち着いた未亡人エルザ。オスモはホーソの土地の管理人であるシストーネンと一緒に2人に会いに行くが、確証は得られないまま。
そのうちホーソが殺されてエルザが逮捕されたというではないか! オスモはどうしてもエルザが犯人とは思えない。マーリタと捜査を始めたオスモは驚きの真実に迫る!
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「ヘルシンキ事件」です(OvO)
東京創元社のレーナ・レヘトライネンよりも先に此方、初めてのフィンランド・ミステリと言っても良い作品からお送りします。
フィンランド・ミステリの歴史はアイスランド同様かなり浅いのですが、この作品の発表も1969年です。この作品は国際的に評価できる初のスカンディナビア製犯罪小説としてフランスの冒険小説賞を獲りました。まさかのフランス! しかもこの賞は今までフランス人が取ることが当たり前だったそうです。
本書の探偵は今日のように警察官では無く、弁護士が主人公。映画のようなテンポでどんどん話が進みます。フィンランド、フィンランドー! というものの、あまりフィンランドらしさは無い。多分人名を変えればニューヨーク! ロンドン! 日本! と言っても騙せる← 恐らく本書を含めた過去の作品の反省から今日のような自国問題を扱った北欧ミステリは出来た。
本書は続刊があるそうですが、日本では未訳。残念ですが、此処でオスモシリーズは終了です。
「ヘルシンキ事件」でした(・∀・)/
次はわたしの中でブームになっているこの国の文学です!(*^o^*)/