フィンランド国家捜査局で犯罪に両脚を突っ込むカリが住むヘルシンキを人種差別の殺人が襲う!
◇白の迷路◇ -Helsinki White-
ジェイムズ・トンプソン 高里ひろ 訳
フィンランド国家捜査局で特殊部隊を指揮するカリ・ヴァーラ警部は、術後の後遺症にもめげず超法規的に麻薬を取締まる日々を送っていた。ある日、移民擁護派の政治家が殺害され、頭部が移民組織に届く事件が起こる。それを契機に報復殺人が続発。不穏な空気が急速にフィンランドを襲う。そんな中、謎の男がカリの前に現れた。果たして彼は敵か、それとも…? 北欧社会の闇を描く、極寒ミステリ第3弾!
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カリの生活は公私共々激変した。まず子どもアヌが生まれた。これは良い。膝の手術をした。これも良い。次に脳にあった腫瘍を切除した。結果、カリの中にあったあらゆる感情が消え去った。極め付け、フィンランド国家捜査局の特殊部隊を指揮することになった。その仕事は家宅侵入で麻薬とその儲けを盗むーーーという犯罪に両足を突っ込むものだった。当然妻のケイトはいい顔をしない。
人に対して何の感情も湧かない日々を送るカリ。ある日スウェーデン人民党の女性議員が殺され、その首が移民組織に贈られるという猟奇事件が起こる。スウェーデン人民党は移民擁護派だった。これをきっかけに人種差別意識が爆発し、フィンランド人と黒人の間で報復殺人が勃発する。捜査を始めるカリの前に現れたフランス諜報部員アドリアン・モロー。モローは去年起こったサウッコ家子息誘拐事件の犯人が今回の事件の犯人と同じである可能性があるとして一緒に捜査することを申し出る。人種差別の憎悪が渦巻くヘルシンキの闇は公私共々カリを呑み込んでいく……
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「白の迷路」です(・∀・)
読めば読むほどフィンランドに闇しか見えないカリ・ヴァーラ警部シリーズ第3作目。警察として超! 法規的に麻薬を取り締まっています。そう、超! 法規的に。そっかー……警察の仕事って犯罪者となんら変わりないの!?
本書は1作目と同じく人種差別がテーマ。それも白人至上主義者とかネオナチとか普通に出て来ます。普通に面歩いている上に普通に暴言吐いています。聞いていてマジで気分悪くなりました。っていうかネオナチって取り締まり対象じゃないの……? え、フィンランドとドイツって仲悪いんだね……? いや、こんなこと言うわたしは馬鹿なのか?
いやー……こんな泥まみれな警察官初めてですわ……ハリーならやれるかもしれないけどカリの場合家庭があるだけハリーより酷い。エーレンデュルはやれない。ヴィスティングとカールは論外。特にカールはさもなくばアサドとの友情が崩壊する。
いやー……こんなことがまかり通るならフィンランドという国に見た教育水準の高さ! とか福祉充実! とか皆、幻に見えて来る……移住する夢は潰えた方が良い。というか夢を見れない。ムーミンとかが好きで「フィンランド住みた〜い♡」と思っている人、是非このシリーズを読んでもう一回考え直すべきです。3冊読んだらそんな気は欠片ったりとも無くなるはずだ!←
さて、本書。カリたちが泥の中で足掻いている……! しか思えない。いやカリ。あんたはケイトの助言に従い、こんな仕事は断ってアメリカに行けば良かった。いや、北極圏の寒さが恋しいならアラスカに行けば良い← 腫瘍の切除手術の後遺症はもうしょうがない。言い訳にはして欲しくないけど。けど終わりのケイトがかわいそうで。゚(゚´Д`゚)゚。 後半のあれってPTSDですよね。ああー……どうか夫婦仲が4巻で崩壊しませんように……
……っていうか作者急逝によりこのシリーズ終わっちゃうんですね!? 「ミレニアム」の作者もシリーズ未完のまま死んでしまいますが、これは続編を書けるだけのシナリオがあったのかなんとか完結出来ましたが、このシリーズの場合、作者の死因が事故死らしくそれも出来なかったらしく4巻でまさかの強制完結。……ちゃんと軌道修正してくれますよね?
そんなわけでドキドキで4巻読むことにします(*^o^*)/