ラグナル・ヨナソン No.4◇闇という名前の娘◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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定年退職を目前に正義と意地を見せるフルダだったが…… 

 
 

 
◇闇という名の娘◇ -The Darkness-
ラグナル・ヨナソン 吉田薫 訳
 
 
フルダ・ヘルマンスドッティル、六十四歳。女性警部として実直に職務に励むも“ガラスの天井”に出世を阻まれ、数カ月後に定年が迫っていた。ある朝、年下の上司から二週間後に後輩に席を明け渡すよう急に指示される。最後に未解決事件を担当させるよう進言したフルダは、ロシア人女性不審死事件の単独捜査を始めた。当初は難民申請が通らず自殺したとされていた彼女だったが、やがて売春組織の関与が見え始める。真実に迫るフルダを待ち受けていたのは、あまりにも悲劇的な運命だった。アイスランド・ミステリの気鋭、待望の新シリーズ。
 
 
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フルダ・ヘルマンスドッティル、64歳はあと数ヶ月で定年退職という女性警部だ。本当はもっと仕事をしたくてたまらないが、警察内には"ガラスの天井"が張られている為仕方がない。ーーーが、その数ヶ月を待たずに2週間後に机を明け渡せと命令されるなんて! 憤然とも茫然ともするフルダ。いけすかない上司マグヌスに「何か忙しくなる事件を選べ」と言われたフルダは一年前のロシア人女性不審死事件を選ぶ。
 
 
このロシア人女性エレーナは難民認定をなかなか得られず、自殺したと思われたが通訳のビャルトゥルの言葉からエレーナが売春に関わっていたかもしれない、難民認定が通っていたことが分かり、当時事件を操作した同僚アレクサンデルに対する憤りを隠せない。フルダは情報屋の進言から輸入業者のアゥキを事情聴取するが、アゥキはアイスランド警察が別件で追っていた人物で勘付かれてしまう。マグヌスは怒り、即刻部屋を明け渡すように要求した。フルダは抗議し、なんとか一日の猶予を得る。ーーー警察を去るのと事件解決まであと1日!
 
 
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「闇という名前の娘」です(・∀・)
 
 
苛々する主人公アリ=ソウルシリーズの作者による新シリーズと言われています。主人公は女性、フルダ警部。昔タイプの粘り強いタイプで有能だけど男性優勢の警察ではなかなか昇進は難しい……女性大統領の国だよなぁ!? って感じですが、北欧ミステリ読むとつくづく幸福な北欧のイメージは一気に崩れます。北欧福祉に夢みがちな人がいたら北欧ミステリを黙って渡しますわ。
 
 
そんなフルダは定年退職を数ヶ月残すところでいきなり首になってしまいます。その最後の足掻きとしてロシア人女性の不審死事件に挑むのですが……こんな結末があって溜まるか。というかこんな結末、許せない。ミステリーで殺人が起こるからには犯人は必ず判明し、殺人は重罪ですから然るべき罰を受けなければならない、罰を下すのは探偵や警察官で無くても良い、神様や遺族でも良いから。……なのにこれってあんまりだぁ!!
 
 
しかもエピローグが傷を抉っている……まるで出てきた人全員誰もフルダを理解していなかったみたいじゃないですか……と悲しくなったのですが、ふと思い返すとフルダは昔から人の本性や本心を上手く見抜くことができないところがあるな、と気がついてしまいました。ネーミングセンスもちょっと酷いしな……← だからこその単独行動多さだったのかもしれませんが、その報いとしてのエピローグだったのかな……と愕然とした気持ちに……
 
 
これ、アメリカで映画化が決まったということで日本での公開があったら観に行こうと思いますが、結末どうするんだろう……変えたら原作派としてはアウト! ですが、こんな後味の悪い最期なんて嫌だよ……
 
 
「闇という名の娘」でした(・∀・)/
次は上下巻ドーンと平野啓一郎です(*^o^*)/