ラグナル・ヨナソン No.3◇白夜の警官◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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殺された慈善活動家の秘密とは?

 
 

 
◇白夜の警官◇ -Black Out-
ラグナル・ヨナソン 吉田薫 訳
 
 
アイスランド北部の建設現場で男性の撲殺死体が発見された。シグルフィヨルズル署の警官アリ=ソウルは捜査に駆り出される。一方、首都レイキャヴィークの女性ジャーナリスト、イースルンも調査のため北に向かった。被害者の足跡を追ううち、事件の裏側で一人の少女が命の危機に瀕している可能性に行きあたる。少女の居場所は?その頃、アリ=ソウルの同僚フリーヌルには脅迫メールが届いていた。ある過去を抱える彼は、精神的に追い詰められてゆき…。世界的ゲームクリエイター・小島秀夫氏が「マニアも唸らせる傑作」と評した、北欧ミステリの真骨頂。
 
 
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建設現場で男の死体が見つかった。エリアスという名前の建築業者で慈善活動家だ。それにシグルフィヨルズル署のトーマスと、最近心此処に在らずのフリーヌルでは無く、新人のアリ=ソウルが捜査に駆り出される。彼が借りている部屋から多額の金が見つかった。事情聴取を進めるうちにエリアスには隠された一面があることに気がつく。さらに発見された建築現場の持ち主だった。かつてアルコール依存症で医師を追われた男だった。その男と間違えられて殺されたのか?
 
 
レイキャビークのジャーナリスト、イースリンはエリアスが薬物密輸に関与していたと嘘までついてシグルフィヨルズルに赴く。警察とは別にインタビューをするうちに警察よりも先に事件の真相にたどり着く。そしてエリアスが極秘に行なっていた人身売買の被害者の命が消えつきそうになる……
 
 
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「白夜の警官」です(・∀・)
アーナルデュルとエーレンデュル以外の久しぶりのアイスランド・ミステリで此方の3作目です。これを読んだのはなんと2年前の今日でした。ぎょえー。
 
 
3作目と書きましたが、それは日本の発表順。本国では二番目、『雪盲』の次に発表されました。
……やっぱこの主人公、好きになれない。自分のせいで破局したのにウグラとも破局したらクリスティンに会って謝りたいとか勝手すぎるし、最後何ですかあれは。事件に関係ないことで無断単独行動とか馬鹿なの?? これが事件に関係あるって言うならともかく全然違うし、最後の意味は? って感じだ……これで一体どうやってよりを戻して子どもまでできてしまうのかマジで謎だ←
 
 
 アリ=ソウルって多分、誰のことも大事にできない性格なんですね。悪く言えば自分のことしか考えていない、いやもしかしたら自分のことも実はあまり大事ではない、みたいな。根本的なところは父親が失踪していることだと思いますが、それを言い訳にされてもな……
 
 
北欧ミステリには100%善人の被害者はほとんどいません。おそらく片手で数えられる程です。大多数が過去になんらかの犯罪を犯したか現在進行形でその犯罪が進んでいるかのどっちかです。今回もそのパターンでとんだ人でなしでした。こいつ、よっぽど演技うまかったんだな……なんでジャーナリストのイースリンがでしゃばるのか分からなかったですが、そんな悲しい動機が……この人には最後悲しい運命が待っていますが、最後重荷を下ろした彼女には救いがありました。
 
 
フリーヌル。……なんで此処でそのエピソードを? フリーヌルは因果応報と言うべき苦しみに苛まれていますが、ぶっちゃけ自業自得です。というか罪を償えるという考え方自体がそもそも間違っていて、その手のことで罪が償われることは永遠に無い。フリーヌルの一件は事件とは関わりを持たないので読者にも受け入れられなかったキャラをこういうやり方で退場させたのかな……と思います。
 
 
主人公は好きじゃありませんが←、これからもこのシリーズは読んでいこうと思います。やっぱり北欧ミステリはずっしり重くて考えさせられるし、新しいシリーズも出たようだし。
 
 
「白夜の警官」でした(・∀・)/ 
次は老外交官をめぐる事件です(*^o^*)/