中島敦 No.4◇中島敦全集3◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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中島敦の思考と文学の欠片を読め!

 
 
 
◇中島敦全集3◇
中島敦
 
 
深い詩魂と強靭な理知と。未完のまま遺された第三作品集に収録されるべき作品「弟子」「李陵」「名人伝」等を中心に編成。 
 
 
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4.章魚木の下で
 
 
[遺稿]
 
 
5.北方行
 
 
6.プウルの傍で
 
 
7.無題
 
 
8.セトナ皇子(仮題)
 
 
9.妖氛録
 
 
[雑纂]
 
 
10.文芸部部史
 
 
11.「校友会雑誌」第三百二十二号 編輯後記より
 
 
12.新古今和歌集と藤原良経
 
 
13.鏡花氏の文章
 
 
14.十年
 
 
15.「学苑」第五号 編輯室雑記
 
 
16.「学苑」第七号 後記
 
 
17.お国自慢
 
 
18.「学苑」第八号 編輯後記
 
 
19.「学苑」第十二号 後記
 
 
[断片]
 
 
20.断片
 
 
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「文豪ストレイドッグス」2巻終わり。与謝野さんの買い物に荷物持ちとして同行した敦くんはトレインジャックに巻き込まれます。敦くんは可憐な暗殺者、泉鏡花と激突し、なんとか攻撃を止めることはできましたが、彼女の身体に縛っていた爆弾の起爆装置を押してしまいます。敦くんの「望みがあるなら言葉にしなきゃだめだ」に応えるように「もうこれ以上一人だって殺したくない」と言って身投げした彼女を敦くんは追って救い出します。
 
 
 
そんなわけで敦鏡はここから始まった! と題して「鏡花氏の文章」です。やっと読めました〜!  鏡花を「之を知らないことは不幸、之を知ることは幸い」「言葉の魔術師。感情装飾の幻術者」とボキャブラリー豊富に褒めるのに対して志賀直哉を「知っていても、知らなくても不幸」と評して落差に噴きました。「文スト」では敵になりそうな気配濃厚です。史実では面識のなかった2人なので「文スト」上の濃〜い関わりはこのエッセイが所以だと思われます。本書は最終巻なので後半は遺稿だったり、アイデアのカケラだったり、下書きだったりします。これらがとうとう形になる日が来なかったと思うと涙でしかない……また雑誌の編集後記では小説を書く以外の「中島敦」が見えて興味深いです。真面目な人柄の中にもユーモアが見えてその死が惜しまれます。
 
 
さて私の1番好きなキャラ、鏡花ちゃん。鏡花ちゃんは……読めば読むほど鏡花ちゃんは「泉鏡花」ではなく、奥さんのすゞを基に作られたんじゃないか!? という疑惑が膨らむばかり……というのも彼女たち、似ているのです。
 
 
鏡花ちゃん→敦くんの出会いにより、明るい世界を知る。
すゞ→鏡花に惚れられ、自分にも価値があることを知る。
 
 
鏡花ちゃん→両親の死によってポートマフィアに勧誘される(3巻)。
すゞ→養父の商家が破産し、母親に芸妓屋に売られる。
 
 
鏡花ちゃん→太宰さんの指示により、敦くんと同棲を始める(4巻)。
すゞ→鏡花の友人、吉田賢龍の援助あって鏡花と同棲。
 
 
鏡花ちゃん→紅葉姐さん急襲。「戻るか敦くんを殺すか」を選択させられる(5巻)。
すゞ→同棲を知った尾崎紅葉、大激怒。「師匠を捨てるか、女を捨てるか」と責められ、手切れ金10円を渡される。
 
 
鏡花ちゃん→行方不明になり、自分なりに探偵社員なりの生き方を模索するが、結果的に特務課に捕らわれる(7〜9巻)
すゞ→神楽坂の家を去ってまた芸妓屋"蔦永楽"へ。
 
 
鏡花ちゃん→ポートマフィア在籍の鏡花ちゃんを探偵社で匿う(4巻)、「まだ探偵社員では無い」(7巻)
すゞ→実は吉田賢龍の援助した金だけではすゞを身請けすることはできなかった。利息分は鏡花の家から"蔦永楽"に通い、返すつもりだったが、実はそれは芸者や花街のルールに反していた(←これを、紅葉が2人の同棲に激怒した理由と挙げる人もいる)。
 
 
似ていると思いませんか?
 
 
事実、鏡花ちゃんと「泉鏡花」の共通項って【夜叉白雪】と湯豆腐と亡母憧憬見当たらないですよ……鏡花ちゃんが敦くんよりもしっかりしていて逞しいのは史実が歳上だからと思っていたのですが、鏡花ちゃん=すゞ説に行き着いてからはいや多分すゞの方が鏡花よりも強かったのでは!? と思うように……考えてみれば偏食で拘りが強くて我の強い鏡花と40年一緒に生きてきたわけだからすっごいしっかりした女性であったと考える方が自然ですよね……
すゞから鏡花ちゃんが形成されたのなら、その部分の鏡花は敦くんに投影されているということになります。敦くん、ヘタレで人に助けてもらってばっかですが、鏡花もきっとこうだったに違いない……とはいえ、恋愛面だけでも尾崎紅葉に逆らい通したことは賞賛すべきだし、鏡花もいざとなったらすゞを助けたかもしれないですし。じゃなきゃ仲睦まじく暮らしたとは書かれませんよ。
 
 
本当はまだ話は終わらないのですが、脱線してしまうのでここで切ります←
 
 
何気無く中島敦の著作を全て読み尽くしました! 「中島敦全集3」でした(・∀・)/ 
次はあんまり仲の良くないメグレの友達が登場!?(*^o^*)/