ヒースクリフの復讐は子どもたちにまで伸びーーー愛と狂気の復讐の果てに待つものはーーー
◇嵐が丘・下◇ -Wuthering Heights-
エミリー・ブロンテ 小野寺健 訳
ヒースクリフはリントン家の娘イザベラを誘惑し結婚する。一方、キャサリンは錯乱の末、娘を出産して息絶える。キャサリンの兄ヒンドリーもヒースクリフに全財産を奪われてしまう。ついに嵐が丘を我が物としたヒースクリフだが、その復讐の手は次の世代へとのばされていく。
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ヒンドリーを賭博に引き摺り込み、息子ヘアトンを奪い、嵐が丘を手に入れたヒースクリフ。エドガーの妹イザベラと結婚するも冷たく虐待し、イザベラは出奔する。その間にもヒースクリフはキャサリンを度々尋ねるがヒースクリフの愛憎に耐えきれず遂に発狂し、女の子を産んで死んでしまう。
時は流れ、ヘアトンはヒースクリフの悪意から野良仕事をやらされ粗野な人間に、イザベラの忘れ形見リントンは生まれつき虚弱で見限られ、キャサリンの娘キャシーは母親譲りの美しさと高慢さを受け継いだ。その三人とヒースクリフが一堂に会した時、ヒースクリフの憎悪が渦巻く!
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「嵐が丘・下」です(・∀・)
キャサリンがなくなり、ヒンドリーがなくなり、遂に嵐が丘はヒースクリフのものになりました。それどころかヒンドリーの息子ヘアトンを使用人のようにこき使い、立場は完全に逆転してしまいました。
よくもまぁ、ここまで嫌悪と憎悪を掻き立てられる!
ヒースクリフは人に嫌悪や憎悪を掻き立てずにはいられない狂人です。誰もかれもが罵り合い、その迫力とボキャブラリーに圧倒されます。ここまで感情を剥き出しにした書き手はこの時代、きっと二人といなかった。
この話、ピカレスク・ロマンと言っていいんでしょうね。復讐の為にあらゆる手を使い、ヘアトンや息子リントンの性格まで歪めてしまうところはここまでするか……! と絶句したくなります。キャシーは高慢ですが、エドガーの血も引いているので優しいところもあり、そこがヒースクリフ亡き後の希望を持たせてくれます。ヒースクリフがいないと皆、憎悪や嫌悪をぶちまける必要性を感じなくなるのですね……(/ _ ; )
「嵐が丘・下」でした(・∀・)/
間が空きましたが、つぎこそヴェルヌです(*^o^*)/