H・G・ウェルズ No.10◇盗まれた細菌・初めての飛行機◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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◇盗まれた細菌・初めての飛行機◇ -The Stolen Bacgllus/My First Aeroplane-
H・G・ウェルズ 南條竹則 訳
 
 
細菌学者の研究室からコレラ菌を盗み出した無政府主義者は、テロを企むか…(『盗まれた細菌』)。操縦経験がないのに、最新の飛行機で無謀にも空へ飛び立った青年が村に大騒動を巻き起こす(『初めての飛行機』)。SFだけではない、ウェルズの新たな魅力を発見できる愉快な11篇。
 
 
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1.盗まれた細菌
  (The Stolen Bacillus)
  ……細菌学者は青白い顔の男に生きたコレラ菌を詰めた瓶詰めを見せた。ところが、その彼が家を辞去した時、コレラ菌瓶詰めはなかった。そう。男はそのコレラ菌で無差別テロを起こそうと企んでいたのだ!?
 
 
2.奇妙な蘭の花が咲く
  (The Flowing of the Strange Orchid)
  ……「タイムマシン」参照。
 
 
3.ハリンゲイの誘惑
  (The Tempatation of Harringay)
  ……画家ハリンゲイはイタリア人のオルガン弾きの肖像画を描いたーーーが、上手くいかない。間違えて朱色の絵の具を塗ったらーーー絵に乗り移った悪魔がその絵の具を拭い取った!!
 
 
4.ハマーポンド邸の夜盗
  (The Hammerpond Park Burglary)
  ……テディー・ワトキンズ氏はエイヴリング卿夫人のダイヤモンドを狙って風景画家になりすましてハマーポンド村を訪れた。ところがその屋敷には先客がいて殴り合いになったが思わぬ方向で屋敷に潜入成功!?
 
 
5.紫の茸
  (The Purple Pileus)
  ……小さな雑貨店を営むクールズ氏は人生が嫌になって森をうろついていた。偶然目に入った紫の茸を口にした。そしたらやたらハイテンションになって帰ってきてーーー大暴れをしたら人生が好転した!?
 
 
6.パイクラフトに関する真実
  (The Truth about Pyecraft)
  ……パイクラフトはロンドンのクラブ員で1番デブな男である。僕にとって耐え難い人物だが、1つ秘密がある。それはパイクラフトが体重を減らすために僕からひいお婆さんの東洋の秘伝の薬を教えたことから始まった。
 
 
7.劇評家悲話
  (The Sad Story of a Dramdtic Critic)
  ……シャーロット伯母の遺言で決して劇場には行かなかったカミングス。ところが「焔の十字架」編集長バーナビーはカミングスを劇評担当にしてしまった! それ以来カミングスは日常生活でも舞台俳優のような大げさな身振り手振りをするようになり……
 
 
8.失われた遺産
  (The Lost Inheritance)
  ……男の伯父さんは役に立たない啓蒙文学作家だったが、12万ポンドの遺産があった。伯父さんはその遺産を男に遺したーーーはずなのに遺言状が見つからず、ろくに交流のなかったはとこのガキが相続された。新しい、本物の遺言状は伯父さんが男に渡した本の中にあったのだ!
 
 
9.林檎
  (The Apple)
  ……ヒンチクリフ氏が客車で乗り合わせた男はアルメニア人から買ったという金色の林檎を持っていた。それは3ヶ月間腐りも萎びもしない。男はこれを禁断の知恵の実だと言うが……
 
 
10.初めての飛行機ーー"アラウダ・マグナ"
   (My First Aeroplane)
   ……最新飛行機"アラウダ・マグナ"大雲雀と乗り手のベッツ青年がミントチェスターの街のものを倒したり壊したりの大騒動を巻き起こす!
 
 
11.小さな母、メルダーベルクに登る
   (Little Mother Up the Mörmerberg)
   ……ミントチェスターでの大騒動の後、わたしとお母さんは大陸に向かった。アローザという街に着く前にわたしたちはアルプス山脈近くのホテルに泊まることになった。そこで登山客の話を聞いているうちにわたしはメルダーベルクという山に初登山することに決めて……
 
 
11.パーキンズと人類  第二十章
   (Perkins and Mankind)
 
 
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「盗まれた細菌・初めての飛行機」です(・∀・)
 
 
前作以上にSFじゃないウェルズだらけです。ファンタジー、メルヘン、ミステリチック……様々なジャンルが詰め込まれているので飽きる事なしです。
 
 
唯一ウェルズの十八番、最新科学が入っているのは10ですが、これはどちらかと言えば飛行機大騒動記なのでやっぱり「SFじゃないウェルズ」ですね。
 
 
1、4、8はミステリチックで意外な後味。
2、3、5、6、9はファンタジーとメルヘンに皮肉がピリリと効きます。
 
 
最後の11はマックス・ビアボウムという作家によるウェルズをモデルにしたクリスマス関係の内容のパロディです。本書の訳注は全てビアボウムによるものですが……「至福千年への助産婦」ってなんじゃおら(爆笑)!! ウェルズ、そんなの書いてないぞー多分ー(爆笑)
 
 
「盗まれた細菌・初めての飛行機」でした(・∀・)/
次は1人の女の死の真相をめぐる1人の男の物語(*^o^*)/