ジョルジュ・シムノン No.68◇メグレと消えた死体◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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女の死体を呑み込んだのは母と子の抱える鬱蒼とした薄暗さなのか……

 
 
 
◇メグレと消えた死体◇ -Maigret et la grande perche-
ジョルジュ・シムノン 榊原晃三 訳
 
 
通称”のっぽ”ことエルネスティーヌがメグレに奇妙な話を持ち込んできた。金庫破りで有名な彼女の亭主がある邸宅に忍び込んだところ、女の死体に出くわしたというのだ。彼は泡を食って逃げ出し、彼女に電話でその話をした後、行方をくらましてしまう。メグレはさっそく件の家を訪ねる。しかし死体はなかったし、その家族は泥棒に入られたことすら否認する……
 
 
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メグレのところにかつてしょぴった"のっぽ"と呼ばれるエルネスティーヌが訪ねて来た。彼女は金庫破りのアルフレッドと結婚しているが、そのアルフレッドが忍び込んだ屋敷で女の死体を見つけたと言うのだ。詳しい話をもっと聞きたいが、エルネスティーヌはあまり多くを知らず、そのアルフレッドもすっかり泡をくってエルネスティーヌに電話した途端、トンズラしてしまった。
 
 
アルフレッドが忍び込んだ家はセールという歯科医の家だった。しかしいざ尋ねると死体は無いし、セール氏もセール老婦人も泥棒が入ったことすら否定するでは無いか。
 
 
しかし仮にも金庫破りの前科があるアルフレッドがさらに重い罪である殺人を供述するとは思えない。それはセールの妻が姿を消したこととアルフレッドが割った窓ガラスが無いことからも分かる。しかしセール母子はどちらも手強い相手で……
 
 
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「メグレと消えた死体」です(・∀・)
 
 
 
別名「消えた死体をめぐる冒険」です。殺人が起こったかも分からない、もしかしたら虚言かもしれない。メグレが金庫破りのアルフレッドの妻の言葉を信じるところから話は始まります。アルフレッドは妻のエルネスティーヌがメグレに話すとは思っていなかったわけですし、それ以前にエルネスティーヌに嘘を言う理由はない。殺人ってだけで全部罪が重くなるわけですしムショには行きたくないでしょ。
 
 
圧巻なのはセール母子ですね。2人はメグレの尋問にも口を割らずにメグレをやきもきさせますが……その様子が無機質で無関心で……なんというかお互いはお互い以外はどうでも良いと言うのがビシバシ伝わって来ます……失踪した妻も友達への手紙で「2人だけの世界を作っていて、ほかの人はだれも必要ないのよ」と言っていますが、まさにその通り……こういう鬱蒼としたところがシムノン文学の魅力だなぁ……
 
 
「メグレと消えた死体」でした(・∀・)/
行くぜホック、ガツガツ読むぜ(*^o^*)/