フェルディナント・フォン・シーラッハ No.2◇罪悪◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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「罪悪」という奈落は貴方のすぐ足元に。

 
 
 
◇罪悪◇ -Schuld-
フェルディナント・フォン・シーラッハ 酒寄進一 訳
 
 
罪人になるのは簡単なのに、世界は何も変わらない。──ふるさと祭りの最中に突発する、ブラスバンドの男たちによる集団暴行事件。秘密結社イルミナティにかぶれる男子寄宿学校生らの、“生け贄”の生徒へのいじめが引き起こす悲劇。何不自由ない暮らしを送る主婦が続ける窃盗事件。弁護士の「私」は、さまざまな罪のかたちを静かに語り出す。「このミステリーがすごい!」第二位など、年末ベストを総なめにした『犯罪』に比肩する傑作!
 
 
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1.ふるさと祭り
  (Volksfest)
  ……大半は既婚者、子どももいる、善良な市民で構成されたブラスバンド。その彼らがあんな事件を起こすとは……
 
 
2.遺伝子
  (DNA)
  ……トーマスとニーナのカップルは部屋に入れた色情魔の老人を死なせてしまった。2人は痕跡を消して部屋を後にし、事件が発覚しても逮捕されなかった。しかし19年後……
 
 
3.イルミナティ
  (Die Illuminaten)
  ……ヘンリーは秘密結社イルミナティにかぶれた生徒たちに弱みを握られ、「生贄」にされる。ところがそこで思わぬ侵入者と死が待ち受けていた。
 
 
3.子どもたち
  (Kinder)
  ……ホールブレヒトは少女猥褻の罪で逮捕された。釈放後偶然証言した少女を見かけたホールブレヒトは私の弁護士事務所にやってきて……
 
 
4.解剖学
  (Anatomie)
  ……男はある娘を殺して解剖しようと企んでいた。準備を整えそれを実行に移そうしたその時、思わぬ邪魔が入って……
 
 
5.間男
  (Der Andere)
  ……パウルスベルク夫妻はある出来事がきっかけで乱交クラブに出入りし、妻は男たちと逢瀬を重ねるようになる。やがてパウルスベルクは男の1人を灰皿で殺そうとするが、最後の最後で殺意を失う……
 
 
6.アタッシュケース
  (Der Koffer)
  ……そのアタッシュケースに入っていたのは死体のカラー写真。取り調べを受けたヤン・バドヴィッツは自分は運ぶよう頼まれただけと言い張るが……
 
 
6.欲求
  (Verlangen)
  ……その欲求は前触れも予兆もなく突然現れた。そうなってしまった。万引きするしか生きている実感が味わえないーーー
 
 
7.雪
  (Schnee)
  ……その老人は麻薬密売人として逮捕されたが、実はそうではなく、麻薬密売人はハッサンという若者なのだ。ハッサンの名前を明かさない理由はひとえにハッサンの子どもを身篭ったヤーナという娘のためだった。
 
 
8.鍵
  (Der Schlüssel)
  ……麻薬密売人アトリスはボスのフランクから愛犬バディと愛車マセラティと金の入ったロッカーの鍵を任された。ところが、その鍵をバディが飲み込み、吐かせるために下剤を飲ませ、糞をマセラティにぶちまけ、その上ーーー
 
 
9.寂しさ
  (Einsam)
  ……私にかかってきたある電話。それはかつて弁護したラリッサという女性からだった。彼女は父親の友人ラックナーの子どもを妊娠させられたが、出産するまで気がつかず、子どもを死なせてしまったのだ……
 
 
10.司法当局
   (Justiz)
   ……コフスキーという男がピットブルテリアを連れた男にコテンパンにされた。巡査は「タルン」という男の住所を尋ねるがそこにいたのはトゥランという男で……
 
 
11.清算
   (Ausgleich)
   ……アレクサンドラが結婚してすぐ夫は暴力を振るうようになった。娘が生まれ、暴力は日常的になった。やがて夫が眠っているところを殴られて殺害されるが……
 
 
12.家族
   (Famllie)
   ……私はバイエルン州の湖でヴァラーと出会った。やがて私は彼から書類を渡される。それは彼の家族の物語だった。私は犯罪者に落ちぶれた異父兄弟マイネリングの弁護を助けて欲しいと頼まれて……
 
 
13.秘密
   (Geheimnisse)
   ……その男カルクマンは2週間毎朝私の弁護士事務所を訪ねては自分はCIAとBNDに追われていると訴える。私は精神科医のところに彼を連れて行くが!?
 
 
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「罪悪」です(・∀・)
 
 
先日に続いてシーラッハ2作目。「私」が出くわした様々な事件と罪と罰の物語第2弾。
「……前作と違って胸糞悪い……」
感動は1つもなく、あるのはひたすら悍ましい、後味悪い、因果応報の3つ! というのも被害者と事件の内容が胸糞悪い! いやもう3とか9とか吐きそう……これ以上は語りたくないのでぜひ読んでください! 特に男性!!
 
 
あとは前作以上に不可解と不気味要素満載。6、10、12は読んでいて不気味。長編ミステリーでも良いかもしれない。特に12は最後の一文に顎が外れます。シーラッハさん、それで良いのか!?
 
 
すごいのはこれらのモデルが実際にあった事件であること。やはり「事実は小説よりも奇なり」だし、事実は小説よりも不可解で悍ましい……?
 
 
「罪悪」でした(・∀・)/
次は長編でシーラッハの弁護士の本領発揮を見ます(*^o^*)/