ジョルジュ・シムノン No.54◇メグレの初捜査◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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女に助けを求められたにも関わらず、そこには殺人の気配はなくーーーメグレの初事件!

 
 

 
◇メグレの初捜査◇ -Le Premiere Enquete de Maigret-
ジョルジュ・シムノン 荻野弘己 訳
 
 
サン・ジョルジュ警察署書記ジュール・メグレ。26歳。新婚5ヵ月。あこがれの本庁刑事をめざして、昇進試験の準備をしている。当直の晩、銃声を聞いた通行人の訴えで、メグレは現場に駆けつけるが、問題のジャンドロー家には、死体はおろか、犯罪の影も形もない。おまけに当家の主人は署長の友人だという。翌日メグレの報告を受けた署長は、警察がこの件に公に介入するのは好ましくないと判断して、メグレに休暇を与え、個人的に捜査することを命じる。署長の思惑をよそに、新前警官メグレの捜査はしだいに事件の核心に近づいていく。
 
 
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ジュール・メグレ。26歳。新婚の妻を抱え、本庁刑事になるという野心を抱えて、日々精進中。
 
 
昇進試験を間近に控えたある当直の夜のこと。銃声と助けを求める婦人の声を聞き、その家に入ろうとしたら召使い頭らしい男にぶん殴られたというフルート奏者ミナールがやって来た。その家はジャンドロー家。パリっ子なら知らない者はいない「バルタザール・コーヒー」を出した名家である。
 
 
新人メグレは早速その家に捜査に押入るが、その屋敷に死体も無ければ何か事件が起こったという気配はかけらもなく、ただ家主に迷惑をかけただけだった。しかもジャンドロー=バルタザール家の主人フェリシアンとメグレの上司ル=ブレ署長と友達だと言うではないか。メグレは翌朝注意されてしまう。
 
 
この事件に警察が介入すると私情が入っていると思われる。そこでル=ブレはメグレに休暇を与え、私的捜査させることに。メグレは店《旧きカルヴァドス軒》に足を運び、姿を知らないリーズ・ジャンドロー嬢とジャンドロー=バルタザール家の故郷アンスヴァルの不思議な縁、その伯爵の話を聞く……
 
 
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「メグレの初捜査」です(・∀・)
 
 
どんなベテラン警官でも鬼警部にも下っ端、新人の時代があり、初捜査も初事件があるもので本書は我らがメグレ警視の初めて自分で一から捜査した事件です。今まで小さい恋愛事件をちょこちょこっとやるだけでしたが、明らかに事件は起こったっぽいのに死体がない! 事件の片鱗さえもない! 大事件の予感です。
 
 
メグレにも若〜い時代があったんだなぁ。上司のル=ブレに報告するところとか事件に片棒担いだ男との駆け引きとか危ういところが多くてまだ未熟だなぁと思うところたくさんです。極め付けは新婚の夫人に「ジュール」って呼ばれるところですかね。初々しいわ(笑)
 
 
今回の事件はチェーン店(?)バルタザール・コーヒーを出した名家の事件です。家族よりも部外者の影の方が濃い。なので名家のスキャンダルと言われてもピンと来ないです。名家に隠された闇を書くならアン・ペリーとかの方が上手だな。
 
 
初捜査の今回の事件をきっかけにメグレは本庁刑事の道が拓けました。そして今までの53冊+αの難事件を心理的観察と分析で解決していくわけです……
 
 
「メグレの初捜査」でした(・∀・)/ 
来い、アメリカ傑作選〜!(*^o^*)/