ロバート・A・ハインライン No.37◇ヨブ◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




TwitterもといX: 「https://twitter.com/KYoCaTHouWoR
エブリスタ: https://estar.jp/users/153193524

数多の次元転換はこれ、神々の試練か、「最後の審判の日」への前触れかーーー

 
 

 
◇ヨブ◇ -Job : A Comedy of Justice-
ロバート・A・ハインライン 斎藤伯好 訳
 
 
いったい何が起こったんだ。平凡な牧師アレックスは動顛した。南の島で火渡りに挑戦して意識を失い―目覚めると、世界が一変していたのだ。名前はアレックに、乗っていた機船は汽船に変わっている。客室係は初めて見る美女で、なんと彼の恋人だという。だがこれは、際限なく続く次元転換のほんの始まりにすぎなかった…聖書ヨブ記に材を取り、混線次元をさまよう男の冒険をコミカルに描く、ハインラインの話題作。
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆  
 
 
1994年。キリスト教原理主義派の牧師アレックスは南の島でクルージングバカンスを満喫していた。その島の目玉は火渡りという猛烈な熱さの凹地を歩くという危険かつスリルのあるもの。アレックスは話に巻き込まれ、この火渡りをやる羽目に。そして見事やり切ったーーーはずだった。乗っていた船が機械船は汽船になり、皆が皆、自分のことをグレアムとさえ呼ばなければ。
 
 
なにが一体どうなっている? おれはグレアムじゃない! 混乱するアレックス。しかも自分の客室係マルガレーテは自分の恋人だと言うじゃないか……マルガレーテは美人だが、いつまでも誤魔化せる訳がない。アレックスは自分はグレアムではなく、別次元から来たアレックだと打ち明ける。浮気や不倫は姦淫で原理に背くことになるが、マルガレーテを完全に好きになってしまう。
 
 
が、本物のグレアムの後ろ暗い正体が垣間見えた直後、船が難破してしまい、海に投げられてしまう。ところが2人の目の前に現れたのはアレックスの世界にもマルガレーテの世界にもあり得なかった飛行機械ーーー2人は別次元に飛んでしまったのだ! そしてキリスト教原理主義派アレックスと北欧神オーディンを信仰するマルガレーテの次元を流転する旅が始まった!
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆  
 
 
「ヨブ」です(・∀・)
これはキリスト教の旧約聖書の中に収められている「ヨブ記」ーーー信心深く高潔なヨブが神々から与えられる試練によって家族も財産も失い、苦難を乗り越えるーーーが基になっています。逆に言うとヨブ記が分からないとこの話はてんで楽しめない、というか分からない。だってこれパロディですもの。今回ほど聖書を知らない自分を呪いました。どこの出版社から出ている聖書が1番読みやすいか知っている方いらしたら教えてくださいm(_ _)m
アレックスはキリスト教原理主義派な上に信心深いです。アレックスがヨブならこの次元転換が神々の試練です。
 
 
わたしは特定の神様は信じていないのでアレックスの厳格な原理主義派に軽く引きましたが←、死んだ後の天国を見たら軽く絶望するだろうなぁと思ったり。天国の社会って頭固いんですね← 天使の中には絶対に「勝手なことばっか言いやがって。後で上司に怒られるのはこの俺なんだぞ!」って言う天使絶対いる(笑)
 
 
今回のSFテーマは「次元転換」。後年のハインラインが度々扱っていたテーマですね。微妙に歴史が違う世界にどんどん移動させられ、その度に財産を失い、友人も失い、勉強もやり直して……うわぁ、気が狂いそう……アレックスもマルガレーテいなかったらとっくに発狂していますわ。後半の天国と地獄巡りなんてマルガレーテのためにやったんだし、目指せホット・ファッジ・サンデー!
 
 
「ヨブ」でした(・∀・)/
次はついにメグレが退職します(*^o^*)/~……が、しかしそうは問屋が卸さない!