ロバート・A・ハインライン No.33.5◇悪徳なんてこわくない・下◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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女性として、ジョアンとして、ユーニスとしてーーーヨハンはいかに生きるのか?

 
 

 
◇悪徳なんてこわくない・下◇ -I Will Fear No Evil-
ロバート・A・ハインライン 矢野徹 訳
 
 
脳の外科手術は無事成功した。医療機械の助けを借りなければ生きてゆけぬ体だった老富豪ヨハン・セバスチャン・バッハ・スミスは、いまや若く美しい女性として生まれ変わっていた。健康な肉体ならではの幸せを満喫するヨハン。だが、すべてが順調だったわけではなかった。肉体提供者が、娘のように愛していた秘書のユーニスだったことを知った時のショック、巨万の富をめぐって争われる孫娘たちとの裁判……だが、なによりも彼を困惑させたのは、はじめて体験する女性としてのセックスであった。愛と性を見事に謳いあげた問題作堂々完結!
 
 
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ジョアン・ユーニスとして第2の人生を歩み始めたヨハンはまず生前、冷凍保存していたヨハン・セバスチャン・バッハ・スミスの精子をユーニスに注入して受精させる。一方、強欲張りの孫娘との裁判は「ジョアン・ユーニスはユーニス・エヴァンスの肉体とヨハン・セバスチャン・バッハ・スミスの脳とよりなる生物学的な複合物」である云々でヨハン・セバスチャン・バッハ・スミスが生きていると証明され、裁判に勝つ。
 
 
ピクニックに行ったり、買い物に行ったり、ユーニスの前夫ジョウとその新妻ジジと交流を深めたり、若い人生を謳歌するジョアン。ついに待望の妊娠が発覚し、1番側にいたジェイクとの結婚を決めるが、ヨットに興じている最中に死んでしまう。
 
 
1人になったジョアンは最後の野望ーーー最後の処女地「月世界」へ!
 
 
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「悪徳なんてこわくない・下」です(・∀・)
第2の人生を謳歌する編です← 
裁判は意外に簡単に終わってしまったので下巻は昼も夜も遊びまくる生活を送っています。ユーニスが良くも悪くも節操無しなのでヨハンはもちろんのこと、ジェイクもボディーガードたちも看護師ウイニーも夫のボブも絶賛巻き込まれ中。描写が嫌らしくないのが救いです。
 
 
ユーニスとヨハンの野望の妊娠ですが、ユーニスの身体 in ヨハン➕ヨハンの精子って……ある意味両方自分自身だし……さすがこれを考えた作家の発想だなぁ! と思いました。
 
 
ただ24章でジョアンとジジとの会話、26章でのジョアンとジェイクの会話は「悪徳」無しだったので印象的でした。晩年、老境を迎えたハインラインの悟りの極致というか。
特に26章は月世界と宇宙旅行の会話で最後、ジョアンはその月世界で臨月を迎え、出産します。
……つまり月世界を舞台にした作品にはジョアンの子孫がいるかもしれない!?
「月は無慈悲な夜の女王」〈未来史〉シリーズの登場人物はもしかしたら……! という予想がファンを疼かせます。これからハインラインは〈未来史〉シリーズ一直線ですが、伏線回収なるか!?
 
 
「悪徳なんてこわくない・下」でした(・∀・)/
次のシムノンは久しぶりの「運命小説」です(*^o^*)/~