ロバート・A・ハインライン No.29◇月は無慈悲な夜の女王◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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3人と1台が月世界独立の旗を掲げる!

 
 

 
◇月は無慈悲な夜の女王◇ -The Moon is a Harsh Mistress-
ロバート・A・ハインライン 矢野徹 訳
 
 
2076年7月4日、圧政に苦しむ月世界植民地は、地球政府に対し独立を宣言した! 流刑地として、また資源豊かな植民地として、月は地球から一方的に搾取されつづけてきた。革命の先頭に立ったのはコンピュータ技術者マニーと、自意識を持つ巨大コンピュータのマイク。だが、一隻の宇宙船も、一発のミサイルも持たぬ月世界人が、強大な地球に立ち向かうためには…ヒューゴー賞受賞に輝くハインライン渾身の傑作SF巨篇。
 
 
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月世界のコンピューター技師マニーことマヌエルは自分が修理を受け持ったコンピューターがジョークを思いつくほどの知性と意思を持っていることに気がつく。マニーはそのコンピューターをシャーロック・ホームズの兄マイクロフトにちなみ、マイクと呼ぶ。今や笑い話の話をするほど親密になっていた。
 
 
月世界はかつて地球からの囚人たちの流刑場だったが、今はもうその影はなく、月世界は独自の生活文化を作り上げていた。月世界は豊かな資源を持っていたが、地球の行政府に安く買われ、搾取され続けていた。不満はどんどん膨らみ、行政府に対する抗議集会が行われるまでになっていた。
 
 
マニーはその抗議集会で出会った女性ワイオミングと学生時代に教えを受けたデ・ラ・パス教授と話し合う。このままでは月世界の資源は7年で枯渇する。行政府を倒し、月世界に独立を! マイクに相談すると勝率は7分の1! 
 
 
マイクを革命指導者アダム・セレーネに仕立て、革命運動が始まった。月世界の愛国心をたぎらせ、地下に射出機を作り、地球の上流階級も味方につけーーーその革命運動は行政府が起こした暴行殺人をきっかけについに全面衝突する!!
 
 
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「月は無慈悲な夜の女王」です(・∀・)
ハインラインを読み始めて約5ヶ月。楽しみにしていたこの本をついに読むことができました! 題名もハイセンスだし、夜の女王様「月世界」に会えるのを本当に楽しみにしていました。
 
 
ヒューゴー賞受賞作のこの作品は「右翼、右翼!」と物議を醸した「宇宙の戦士」とは真反対の「革命、革命!」の左翼的作品です。SF版アメリカ独立戦争とフランス革命です。
これを読むと改めて「ハインラインはアメリカ人なんだなぁ」と思います。「無料の昼食はない!」って言葉にハインラインとアメリカを感じます。
 
 
この革命のために行う情報工作、外交工作が物凄く複雑です。ハインラインの文章はただでさえ読みにくいところがあるのに追っていくのが大変……分かったのはデ・ラ・パス教授がすごく策士だってことです← あとマイクも。というかマイクいなかったら革命成功しないし! マイクがダニールやジスカルドに見えてくるぞ。主人公マニーは完全に巻き込まれ型ですが、終盤間近マイクに「やってくれ、おまえの好きなように言うんだ」と言うシーンはカッコ良くって痺れました。
 
 
本書はワイオミングというヒロイン級の強い女性が出てきます。マニーとくっつくかと思いきや、恋人ではなく、家族になります。月世界の結婚観を見るとまさに上の言葉がぴったりです。家系婚の共同夫や共同妻って……結婚というより「家族」になるんですね。月世界というのは。
 
 
今回は月世界VS地球でしたが、舞台がSFチックなだけでこういう話はきっと昔から、現実でもあったでしょう。ただフィクションでしょと言い切れない何かがあります。
 
 
「月は無慈悲な夜の女王」でした(・∀・)/
次は久しぶりの北欧ミステリー、クリスマスでの事件です(*^o^*)/~