1世紀分生きた老人は今度は若い女性として第2の人生を歩む!?
ロバート・A・ハインライン 矢野徹 訳
死期の迫った大富豪ヨハン・セバスチャン・バッハ・スミスは、勝てる見込みが皆無に近いいちかばちかの賭け、若者の肉体への脳移植を試みた。手術は無事成功。だが驚いたことに、彼が手に入れたあらたな肉体は、なんと若く美しい女性の体だった!異様な設定によって大胆に愛と性と死とに肉薄する問題長篇!
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大富豪のヨハン・セバスチャン・バッハ・スミスには死期が迫っていた。しかし死んだら財産は強欲ばりの4人の孫娘のところに行ってしまう。それを打破する策はただ1つーーー誰かの、それも死んだ若者の身体に自分の脳を移植すること! ほとんど危険な博打だったが、手術は無事成功。完璧だ! ーーーこれが若い女性の身体で、しかも娘のように愛した秘書のユーニスのもので無ければ!
ユーニスは手術の前に殺害されてしまい、それがヨハンの脳の移植先になったのだ。打ちひしがれるヨハン。しかしユーニスの身体にはなんと彼女の魂が留まっていた! ヨハンはユーニスや信頼なるジェイクらの力を借りて長期間のリハビリを克服し、女性の動作、思考、習慣を身に付け、さらに4人の孫娘と財産権巡って闘ってーーー忙しい第2の人生が始まった!
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「悪徳なんかこわくない・上」です(・∀・)
老人が美しい女性として第2の人生を歩くある意味トンデモナイ物語です←
脳の移植先の条件に「性別」を忘れたばっかりに異性の身体に脳が移され、女性の動作、思考、習慣を元の身体の持ち主ユーニス(の魂)と看護師ウイニーらに助けられながら身につけることになります。
男が女を体験するというところに目が行きがちなんですが、上巻を読んで始終考えたのは人格はどこが形成するのか? です。
ヨハンは強欲ばりの4人の孫娘と財産権を争います。彼女らは脳だけが生きているヨハンを死んだものと見ています。確かに証明できるものはないんですよね。指紋や歯型等々は身体提供者のユーニスのものですし、ここで「ヨハン」を証明できるものは記憶しかない。しかしその記憶はもしかしたらヨハンから聞いたものかもしれないし……というわけです。さらにヨハンはユーニスの身体によって思考もだんだん女性化します。人格を証明するのは記憶か肉体か。裁判の判決はそのままこの問いの答えでもあります。しかしこんな簡単に人格が変わるのだろうかじいさん←
下巻ではヨハンは男性の時だったら絶対に体験できないことも経験するようです。愛を高々と謳っているのも本書の特徴ですが、ただの節操のない人に見えるぞ。
ハインライン作品史上最も奇抜な問題作、下巻に続きます(*^o^*)/~