ロバート・A・ハインライン No.32◇動乱2100◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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動乱の2100年を生きろ!

 
 

 
◇動乱2100◇ -The Past Though Tomorrow-
ロバート・A・ハインライン 矢野徹 訳
 
 
アメリカ合衆国全体が、一人の予言者による専制政治下にあえぐ近未来。惑星間旅行は中断され、きびしい検閲制度のもと、社会は予言者とその側近にいいように操られていた。しかし、自由を求める人々は、カバル党という地下組織を作っていたのだ。なんとしても、この欺瞞に満ちた宗教専制政治を打破し、個人の権利が保証させる社会をうちたてなければならない! だが…革命勢力と反革命勢力との激突を、ハインラインらしい緻密な構成で描く「もしこのまま続けば」、ミスター計算器ことアンディ・リビイが自分の才能にはじめて気がつくことになる「不適格」ほか一篇を収録。
 
 
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1.もしこのまま続けば……
  ("If This Goes Onーーー")
  ……予言者がアメリカ合衆国を独裁政治している2100年代。ジョン・ライルはその予言者を警護する「主の天使隊」の一員だったが、予言者に捧げられる聖修道女ジュディスに恋したことで反予言者を掲げるカバル党に入党し、当たり前だと思っていた教義に疑問を持ち始めるーーー!
 
 
2.疎外地
  (Coventry)
  ……他人を殴った咎で性格を矯正されるか「疎外地」に流刑されるかどちらかを選択しなければならなくなった青年マッキンノン。マッキンノンは自由を奪われるのを嫌い、「疎外地」で開拓民よろしく意気揚々とその地を踏み入れるが……
 
 
3.不適格
  (Misfit)
  ……「地球において幸福に適応できない」と判断された若者たちは小惑星HS5388を宇宙ステーションに作り変える仕事を担うことになった。その中に数字において瞬時に最適解を見出すことができるリビイという青年がいた……
 
 
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「動乱2100年」です(・∀・)
〈未来史〉シリーズ第3巻。1番未来の時間軸、後々「メトセラの子ら」等々に繋がる物語、第3編です。特に3は〈ミスター・計算機〉リビイの若い頃の話でこれから〈未来史〉シリーズを読もうと思っている方はこの短篇集を読んでから長編に行くことを勧めたいです。「メトセラの子ら」なんてラザルスとメアリーしか覚えてねぇ!←
 
 
本書は予言者による独裁政治で宇宙学、科学的研究が中断・衰退を強いられ、(アメリカ人が大事にしている)自由を制限されている、文字通り「動乱の時代」です。それに反旗を翻す1、その後、その反動を食う2、未来への布石の3。どれも〈未来史〉を知る上で大事な作品ですが、自由を得ること、それを選択することの難しさとその責任の大きさが1と2でハインライン流に問われ、考えさせられます。「わたしたちにとって狂って見えていようとも、その人がそれを選択するもしないも、自由だ」旨の言葉はズシンときました。
 
 
「動乱2100」でした(・∀・)/
次のシムノンは久しぶりにロマンスです(*^o^*)/~