〈未来〉の地球を、宇宙を生きる人々!
◇地球の緑の丘◇ -The Past Though Tomorrow-
ロバート・A・ハインライン 矢野徹 訳
盲目の吟遊詩人ライスリングが歌う「地球の緑の丘」の調べは、宇宙を行くものすべての上に、せつせつたる望郷の念を呼び起こすのだった…人類の、緑なす地球への想いをあますことなく描ききり、名作の誉れ高い表題作はじめ、“月を売った男”デロス・D・ハリマンの後日譚「鎮魂曲」、事故のため高所恐怖症に陥った宇宙パイロットと可愛い子猫の物語「宇宙での試練」そして、スゴ腕の便利屋集団の活躍をユーモラスに描く「犬の散歩も引き受けます」など、宇宙に進出しはじめた人類の夢と輝望と冒険を、瑞々しいタッチで綴る、ハインライン中期の傑作中短篇11篇を収録!
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1.宇宙操縦士
(Space Jockey)
……ロケット操縦士のジェイクはその職業ゆえに呼び出しを受ければすぐに出動しなければならない。たとえ3ヶ月も妻と会っておらず、久しぶりの休暇であろうとも……
2.鎮魂曲
(Requiem)
……「月を売った男」参照。
3.果てしない監視
(The Long Watch)
……月基地の副司令官タワーズ大佐はクーデターを企んでいる! 話を持ちかけられたジョニィは核ミサイル格納庫に向かい、クーデターを阻止しようとするが……
4.坐っていてくれ、諸君
(Gentlemen, Be Seated)
……ジャーナリストのジャックは建設中のコロナ観測所を訪れる。案内の途中で穴が開いて空気が漏れるというアクシデントに見舞われる。それは宇宙服でなんとかなったが、電力が無くなって暖房装置がダメになってしまう。
5.月の黒い穴
(The Black Pits of Luna)
……父さんに連れられて月旅行にやってきた僕たち一家。月面観測の機会に恵まれるが、文字通りチビ助は連れていけない。だが、それを父さんは強行し……チビ助は行方不明になってしまった!
6.帰郷
("It's Great to Be Back!")
……不便だらけの月の暮らしに嫌気がさしたアラン、ジョー夫妻。久しぶりの地球に彼らは帰ってきた嬉しさと喜びを覚えるが……
7.犬の散歩も引き受けます
("ーーWe Also Walks Dogs)
……忙しい世の中、どんな雑事でも引き受けるスゴ腕集団ジェネラル・サービス。今回の依頼は「太陽系に存在する知的生命体を招いての会議を行うため、地球の重力を軽減させる方法を探して欲しい。だった。
8.サーチライト
(Searchlight)
……天才ピアニスト、エリザベスが月基地の慰問旅行中に行方不明になってしまった。パイロットは意識を失っており、エリザベスは盲目で自分たちがどこにいるか分からない。そこで探索隊はエリザベスならではの方法で彼女を探す。
9.宇宙での試練
(Ordeal in Space)
……職務中に落ちてしまい、高所恐怖症になってしまった宇宙飛行士のソンダース。宇宙と縁を切るため、普通の職業を選んだソンダースだったが……
10.地球の緑の丘
(The Green Hills of Earth)
……盲目詩人ライスリングの詩「地球の緑の丘」は地球の、地球人の、地球人のための詩である。この詩を書いたライスリングはかつては宇宙船をヒッチハイクしては放浪する吟遊詩人だった。
11.帝国の論理
(Logic of Empire)
……合法的に奴隷が存在する時代。酒に酔って前後不覚に陥ったウインゲートとジョーンズはその勢いで自分を金星に売り飛ばしてしまった。つまり金星で働く労働者を運ぶ船に乗ってしまったのだ。かくして金星で奴隷となって働く2人だったが。
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「地球の緑の丘」です(・∀・)
これに続き、〈未来史〉シリーズ第2作。本書は11編収録。未読作品がいっぱいで嬉しかったです。
「未来はこんなことが起こるかもよ?」がどっさりです。笑えるものからシリアスなものまで、様々です。人は今風ですが。6を読んで月こそわが故郷と思う人がいつか出るかもしれないと思うとなんか切ない……7とか本当にあったら結構楽しいだろうな〜。
傑作は10です。宇宙を放浪する吟遊詩人。なんて素敵なんだ! 酒飲みで無鉄砲だけど! この吟遊詩人の物語がもっとたくさんあったら良いのに……他にはないのかしら。
「地球の緑の丘」でした(・∀・)/
次は久しぶりの北欧クライムミステリーに行きます(*^o^*)/~