ジョー・ネスボ No.9◇ザ・サン-罪の息子-・上◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




TwitterもといX: 「https://twitter.com/KYoCaTHouWoR
エブリスタ: https://estar.jp/users/153193524

血と薬物のどん底から息子は立ち上がったーーー復讐のために!

 
 

 
◇ザ・サン-罪の息子-・上◇ -The Son-
ジョー・ネスボ 戸田裕之 訳
 
 
サニーの父は警察官だったが、突然、拳銃で自殺した。自分は警察の内部情報を犯罪組織に売る内通者だった、という遺書を残して。気落ちした母も後を追うように亡くなり、サニーは薬物におぼれ…そして今、刑務所にいる。あらゆる収監者が、サニーには心を開き、秘密を打ち明けるのだ、まるで懺悔をするように。サニーの父の死の真相を知る者がそれを明かしたとき―凄絶な復讐劇の幕が開く!
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆  
 
 
ノルウェーの国家重犯罪者刑務所に12年服役しているサニーはどこの派閥にも属さず、中立を保っていることから、あらゆる服役者にとって懺悔の聞き手になっていた。サニーは警察官だった父親が自分はスパイだったと遺言を残して自殺してから薬物に溺れ、やがて殺人を自供し、刑務所に入ったのだ。そこで父の死の真実を懺悔され……
 
 
一方、オスロ警察のシモンは刑務所付き牧師ヴォッラン殺害事件を新人カーリと一緒に捜査することに。ヴォッランは薬物中毒者を受け入れる〈イーラ・センター〉に一時寝止まりしていた。ヴォッランは何かに怯えている節があったようだ。
 
 
その〈イーラ・センター〉にスティーグという(偽)名前のどこか浮世離れした男がやってきて、スティーグとセンターのマネージャーはマルタは親しくなる。マルタはあることをきっかけにスティーグの本当の姿を垣間見るーーー
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆  
 
 
「ザ・サン-罪の息子-・上」です(・∀・)
久しぶりの北欧ミステリーとジョー・ネスボさんです。本書は1年前のノルウェー大使館でのトークショーの時に買ってサインをもらった本で、本棚でひっそり眠っていましたが、やっと陽の目を見ました←
 
 
本書は今までのようにアルコール依存性に悩む陰ある警部ハリー・ホーレが主人公ではなく、ノン・シリーズ。別の人が主人公です。
その名もシモン・ケーファス。妻エルセと仲良く暮らす普通の警部……と思ったらこちらはギャンブル依存性に苛まれていました。しかもそれで前職を解雇されたようで夫婦の生活にも影が差しています。おーい……ただ本書を読む限り自覚もあるし、自制できているようです。どちらかというと高額な手術費が必要なエルセの眼の手術の方が暗いです。北欧ミステリーの夫婦仲は破綻しているか、その手前か、どちらかが死んでしまっているしか見たことないのでシモンとエルセにはぜひ末長く仲良く生きて欲しいです。
 
 
本書はズバリ。復讐の物語です。罪人としての責を背負い、汚名を被り、殺されてしまった父親の仇を取るべく、罪に呑まれ、ジャンキーにまで落ちぶれた息子が地獄の底から蘇って久しぶりに世界に顔を出しては次々と自分たちの仇を殺しにかかります。シモンは薬莢からいくつかの事件には繋がりがあると気づきますが……また新人カーリとはどんなコンビになるのか? なかなか良いコンビになりそうです。エッレンハルヴォルセンみたいに死なないで欲しい。
 
 
毎度のことながら登場人物の数がめちゃくちゃ多いので読むのはかなり大変ですが、人物が多いからこそあらゆる側面のノルウェーの姿がリアルに伝わってきます。観光ガイドじゃ絶対に教えてくれない、泥と埃と裏路地の世界も。薬物中毒者の描写とかかなり取材して知りえたんだろうなぁ……
 
 
果たしてノルウェー犯罪を牛耳る"ザ・トゥイン"とは何者か? 殺人犯がかつて同朋だったアープの息子サニーだと気付いたシモンはどんな決断を下すのか……
いざ、下巻へ(*^o^*)/~