不意に消えてしまう記憶、悍ましい醜聞、目の前に次々と現れる死体たち。どん底に堕ちたソフィーの行く果ては?
◇死のドレスを花婿に◇ -Robe de Marie-
ピエール・ルメートル 吉田恒雄 訳
ソフィーの目の前に転がる男児の無残な死体。ああ、私はついに人を殺してしまった。幸福だった彼女の破滅が始まったのは数年前。記憶にない奇行を繰り返し、彼女はおぞましい汚名を着て、底辺に転落したのだ…。ベストセラー『その女アレックス』の原点。あなたの心を凍らせる衝撃と恐怖の傑作サスペンス。
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ベビーシッター、ソフィーには大きな秘密を抱えていた。数年前から記臆障害を起こし、奇行を起こし、遂に公私共々破滅ーーー義母を亡くし、子を亡くし、夫を亡くし、スキャンダラスな画像で職を失いーーーし、どん底に堕ちたのだ。ーーー幸せだったのに。
預かった子どもまで死んでしまった。わたしが殺した! ソフィーは半狂乱で逃げ出す。偶然出会った翻訳家、逃亡先のファストフード店の店長の遺体までまとわりつき、ソフィーは結婚することでソフィー・デュゲという名前を捨てようとする。ーーーその瞬間、狂気が姿を見せた!
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「死のドレスを花婿に」です(・∀・)
実はこれ、これの下巻が手元にないために読んでいました。下巻読まないで他の作品読むとか邪道過ぎますが、手元にないんだからしょうがないじゃないですかー!← 一応ブログにアップするのは後にしましたが、読み終わったのは本書が先なんですよ( ̄_ ̄ i)
そんなわけで一時的に読書の輪から外れまして、ルメートルを読みました。本書です。
本書はあの「その女アレックス」の原点です。つまり、本書あってこそのアレックスなわけで「あの衝撃の源は!?」と怖さ半分、好奇心半分で読みました。
悍ましい。恐ろしい。
本書は4部構成ですが、第1部より第2部、第2部より第3部、第3部よりも第4部と読むにつれて悍ましさと悪意が倍増していきます。先に進んだらもう戻れないのを分かっているのに読む手は止まらない!
ソフィーを襲う恐怖、その悪意……アレックスを真に知っている人はもうお分かりでしょう。ソフィーとアレックスは同じだ。
あと題名も最初「妙な題名だな? 花婿さんにドレスなんて?」と思いましたが、読んで納得しました。そういえばフランスでウェディングドレスを着る機会は結婚式ともう1つありました。忘れてました。
そして人間とはここまで悪意を持てる生き物なんだろうか?
詳しく書いちゃうと本当にネタバレになってしまいますので書きませんが、ここで書いたことをここでも書きたい。2本目の星ラインから5段落目の文章です。まんま、これだ。
今回はグロさは目立たないものの、故に悪意と殺意が色濃く充満しています。第4部、特に最後の最後ではガスを吸ったように息が詰まりそうになります。
息を吸うように悪意を語り、遊ぶように具現化する。いや、悪意とすら思わずただ本能に、自分の正しいことをしている、それがたまたま悍ましい、恐ろしい行動なだけで。誰もいない夜の路地裏で親しい友達にブラックな笑みを浮かべられたらこんな気分になるんでしょうか。後戻りしたくても、身動きできない。フランスミステリにはそんなところがあります。
「死のドレスを花婿に」でした(・∀・)/
次はクロフツ、なんと密室が登場(*^o^*)/~!?