ジョン・ディクスン・カー No.49◇深夜の密使◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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「深夜の密使」ら、証たる指輪を携えフランスへ! カー、歴史物の原点!

 
 
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◇深夜の密使◇ -Most Secret(Devil Kinsmere)-
ジョン・ディクスン・カー(ロージャー・フェアベアーン) 吉田誠一 訳
 
 
少年時代からデュマなどを愛読していたカーは、パリ遊学当時、歴史小説の習作を試みていたという。1934年、『黒死荘の殺人』や『白い僧院の殺人』を発表した年、彼はまったくの別名で1編の歴史長編を発表した。この知られざる作品を、題名を変え、ディクスン・カー名義にもどして再び世に問うたのが本書である。歴史ものの原点ともいうべき注目作。
時に、1670年5月、チャールズ二世が英国に帰還して10日後のこと、郷紳ロデリック・キンズミアは遺産請求の件でロンドンに上った。ヨーク・ハウスでバッキンガム公にお目見得のつもりが、一人の竜騎兵の隊長に絡まれ、これがもとで殺人事件、果ては国家的陰謀に巻き込まれてしまう。見初めた美人女優との逢瀬もままならぬうち、英国国王からフランスに密書を運ぶ役目を仰せつかった彼を待ち受けるものは何か? そして殺人者の正体は? カー、十八番の歴史物!
  
 
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ただ、私用でヨーク・ハウスを尋ねただけだったのに。
 
 
遺産を請求するためだけに来たロデリックは英国国王チャールズ・スチュアートを中心とした国家的陰謀に巻き込まれてしまった。1つは竜騎兵隊長ハーカーに絡まれ、決闘を受けて立ったことから。もう1つは家に代々伝わる指輪のせいで!
 
 
ロデリックの指輪は勅書送達吏の証だったのだ。ロデリックはもう1人の勅書送達吏バイコンズと共に、国家的陰謀を謀るハーカーをやっつけるが、何者かの手にかかってハーカーは殺されてしまった!
 
 
ハーカーと一緒にいたドリーの機転でロデリックとバイコンズはチャールズ・スチュアートとの面会が叶う。そこで改めてフランスへ勅書送達を命じられたロデリックらはいざ、フランスへ!
 
 
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「深夜の密使」です(・∀・)
この作品の発表は1964年ですが、書かれた時期は歴史物の中では1番早く、1934年に書かれました。あらすじ見てわかる通り、かなり初期です。歴史もののの第1作「ニューゲイトの花嫁」は1950年ですので16年も早いのです。
 
 
カーがデュマを愛読していたのは周知の事実ですが、自分でも書きたくなってパリ遊学中に何作か歴史物を書いたそうです。本好きあるあるですね!←
 
 
それらは結局気に入らなくて全て灰になって消えましたが、それでも創作熱は消えず、推理小説家になってから別名義・別題名で書かれたのが本書だと言われています。()で書かれたのがそれです。
 
 
……と考えると本書はカーの歴史物のスタート地点なわけでして、カーを語るに外せない一作なのではないでしょうか。でも当時の人もまさかフェアベアーンとカーが同一人物だとは思わなかったでしょうねぇ! いたかな!?
 
 
前書きはこのくらいにして本書に入りましょう。
本書は歴史ミステリではなく、歴史冒険小説のカテゴリです。
殺人事件は確かに起こるけど犯人はすぐ分かるし、黒幕も大体検討がつきます。主体はやっぱり英仏間の国家的陰謀と勅書送達吏の使命とその証たる指輪を持つロデリックたちの冒険です。指輪の存在感の大きさにびっくりです。指輪凄すぎる!
 
 
あと勅書送達吏に任命されるまでが長すぎてフランスまで航海するのが呆気なかったです。いっそ、上下巻に分けたほうがこの話は面白かったと思います。ドリーとのロマンスも中途半端だったし、それが後の作品でどんどん良くなっていったのかなと思います。
 
 
「深夜の密使」でした(・∀・)/
次は……ついに! ついにいいいいいい!!!!!