エラリー・クイーン編 No.52◇完全犯罪大百科・上◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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殺人者、窃盗犯、詐欺師……「成し遂げた」犯罪者たち、集まれ!

 
 
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◇完全犯罪大百科・上◇ -Rogues' Gallery -The Great Criminals of Modern Fiction- -
エラリー・クイーン 厚木淳 訳
 
 
G・K・チェスタトン曰く─殺人者はもっとも謙虚な芸術家であり、あらゆる芸術の信奉者たちの中で彼らだけが、自分の傑作を世間に賞賛してもらいたいという虚栄心を持っていない─。その殺人者たちを皮切りに、多彩な犯罪者と彼らの独創的な犯罪を描く記録の集成がここにある。胸に手を当て、心ひそかに仲間入りするもよし。
汝殺すなかれ、盗むなかれ、偽りの証を立つるなかれ……
 
 
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【殺人者展示場】
 
 
1.郵便殺人(ハワード・スプリング)
  (Murder by Mail)
  ……わたしミルナーはいつしか古い付き合いのシャスターを殺そうと決意した。ミルナーは休暇の時についに実行に移すーーー
  
 
2.ミスター・ボウリーの日曜の晩(H・C・ベイリー
  (Mr. Bowley's Sunday Evening)
  ……ボウリー夫妻のところにミス・ヴァーニーが訪れる。助けを求めてきたのだ。酷い男と結婚したと嘆く彼女を助ける方法は1つしかなかったーーー
 
 
  (Blood Sacrifice)
  ……脚本家のスケールズは自分の脚本を台無しにされたことで主演のドルーリーを恨むようになる。その時、ドルーリーが大怪我をし、輸血の必要性が生じる。彼はその時ーーー
 
 
4.骨董商ミスター・マーカム(ジョン・ディクスン・カー
  (Mr. Markham, Antique Dealer)
  ……骨董商マーカムのところに夜中の客人がやってきた。客人の女性は罪科があり、マーカムはそれを揺すったのだ。婚約者もやってきて事態は一触即発にーーー
 
 
5.殺人!(アーノルド・ベネット
  (Murder!)
  ……2人の男が銃を売る店にやってきた。1人は拳銃、1人はフェンシングの用の剣と店にしては風変わりなものを買い求めたのだ。果たして2人は1人の女性のことで殺人一歩手前の状態だった。
 
 
【泥棒展示場】
 
 
6.ダイヤのカフスボタン(グラント・アレン
  (The Diamond Links)
  ……ヴァンドリフト卿は旅行先のスイスで見事なダイヤのカフスボタンをつける牧師補夫妻に出会う。卿夫人エミーリアはあれをなんとか欲しいと熱望するが……
 
 
7.ラッフルズ罠にはまる(E・W・ホーナング
  (A Trap to Catch a Cracksman)
   ……夜中の1時にわたし、バニーのところに相棒ラッフルズからの助けを求める電話が鳴った。バニーはラッフルズが乗り込んだと悪名高い拳闘選手マグワイアのところに駆け込むが……
 
 
  (The Infallible Godahl)
  ……アーミストンは人気キャラクター怪盗ゴダールを生んだ人気作家。電車賃を払ってもらったのをきっかけに奇異な賭けととんでもない災難に巻き込まれる!
 
 
9.七十四番目のダイヤ(エドガー・ウォレス)
  (The Seventy-Fourth Diamond)
  ……ロンドンには油断ならない悪漢が2人いる。ペニー・ラムと〈ミキサー〉。どちらがティキリジのラジャの74番目のダイヤを手に入れられるのか?
 
 
10.聖ジョカスタの壁掛け(ロイ・ヴィカース
  (The St. Jocasta Tapestries)
  ……ミセンデン卿の大事な聖ジョカスタの壁掛けが盗まれた。盗んだのは可憐な女盗賊フィデリティ・ダヴ。しかも彼女は大胆なことに自らミセンデン卿に交渉しにやってきた!
 
 
【詐欺師展示場】
 
 
11.催眠術(O・ヘンリー)
  (A Personal Magnet)
  ……ジェフ・ピーターズがフィッシャー・ヒルで薬用酒を売ろうとした頃の話。そこで仲間のアンディ・タッカーと出会い、やがては活動資金をも得るーーー
 
 
12.強力無比座骨神経痛剤製薬会社(ビアレス・サイアタカ・カンパニー)(ジョージ・・ランドルフ・チェスター)
  (The Quagg Peerless Sciatacata Co.)
  ……ヤング・ウォリンフォードは「強力無比座骨神経痛剤製薬会社」なるものを立ち上げる。その先には終わりと複雑なからくりがーーー!
 
 
13.大佐のお別れパーティ(エヴァレット・ロード・カースル)
  (The Colonel Givers a Party)
  ……ハンフリー・フランク大佐が開いたお別れパーティーでライトヘビー級選手権大会が行われ、そこで賭けが行われる。ーーーがそこには驚くべきからくりが!?
 
 
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「完全犯罪大百科・上」 です(・∀・)
 
 
名前の通り犯罪者たちの集まりです。
それもただの犯罪者ではなく……罪を犯したにも関わらず逃げおおせた、又は犯罪立証されることがなかったーーー完全犯罪達成者です。
 
 
探偵というヒーローがいるならば、犯罪者という悪役は付き物です。探偵と犯罪者は光と影、表と裏と絶対に相容れない関係なのです。
 
 
犯罪者は犯罪を犯しているわけですから許される存在ではなく、最後は逮捕されたり処罰されたり、処刑されたり、自殺せざるをえなかったり、逃亡したりと形違えど罰さられるわけです。絶対に。
ーーー絶対に? 本当に? 中には完全に逃げ果せた犯罪者ーーー「完全犯罪」を成し遂げた犯罪者もいるのでは?
 
 
さながら悪魔の囁きですね。「完全犯罪」は犯罪者の夢です。それはいつしか探偵作家の疼くところとなり、形になったのがこの27人の犯罪者なのです。
 
 
本書の説明に入りましょう。
本書は悪党見本市という名前のデパートです。
展示場は全部で5つ。上巻はそのうち、
入ったら最後、死ぬかもしれない殺人者展示場と、
入るなり擦られてしまう(しかも荷物は帰ってこない)泥棒展示場と、
入ると大損しかしないこと間違いなしの詐欺師展示場の3つでできています。
 
 
殺人者ーーーというのは犯罪の残酷さ、犯人の若年化、理由なき動機が深刻な現在では滅多に出ないタイプですね。というかゾッとする者ばっかり。特に2。セイヤーズ女史の3は今でも病院内でできそうで怖い。1は後味が虚しくその虚しさが底なし沼みたいで気持ちが澱みます。
 
 
泥棒と詐欺師はまぁ、予想通りというか想像つきますよね。すでにアルセーヌ・ルパンがいますし。ところが本書にはその大先輩というべきラッフルズがいます。あと史上初の短編小説中の大泥棒というべきクレー大佐。
 
 
ラッフルズはまとめて何冊か出ているので読もうかな。フィデリティ嬢は前回でも登場しましたね。可憐な女の人を過小評価すると悲惨です←
ここで面白いのは8。自作の登場人物でしかなかったゴダールに振り回されるアーミストンが災難です(苦笑)
 
 
詐欺師に関してはそこまでしてやりたいか! って感じです。それに尽きる← 楽には裏があり、驚きはからくりからできている。
 
 
「完全犯罪大百科・上」でした(・∀・)/
この調子で下巻です(*^o^*)/~